原爆死没者名簿20万人にちなみ顔写真集め

'00/7/29

 原爆慰霊碑に納められている原爆死没者名簿にちなみ、二十万人 分の顔写真で美術作品をつくる企画を進める広島県内の女性たち が、写真集めに苦労している。作品展は八月八日だが、集まってい るのは約十三万五千人分。メンバーは「核の破壊力と命の重みを伝 えるため、二十万人にこだわりたい」と、今月二十日としていた募 集締め切りをなくし、本番まで提供を呼び掛ける。

 「20万人の顔プロジェクト」と名づけた企画で、女子美術大(東 京)の同窓会広島支部(檜垣敏子支部長、百六十四人)が、大学の創立百周年の記念事業として提案。写真集めは、今年三 月に始め、全国の平和団体に協力を求め、原爆を開発した米国ニュ ーメキシコ州のロスアラモス研究所に近いアルバカーキ市の知人に も呼び掛けてきた。

 しかし、目標達成への道は険しい。「二十万人という数のすごさ を、体で感じる毎日」と、実行委の事務局長、嘉屋重順子さん(6 1)。連日、カメラを手に広島市中区の平和記念公園に繰り出し、修 学旅行生や観光客に撮影を申し込む。「最後まであきらめません 」。自ら被爆者で二人の姉を原爆で失った嘉屋重さんの言葉に、力 がこもる。

 作品は「ピースコラム(平和の円柱)」。直径九十センチ、高さ二メ ートルの紙製の円柱を二十個作り、顔写真を貼り付ける。今を生き る者が平和を築く支柱になるように、二十万人の瞳で平和を見据え たいという願いを込める。

 展示は八月八日から十三日まで、西区民文化センターで。会場で も写真を受け付ける。返却できないので、コピーでも可。送り先は 〒731―0103広島市安佐南区緑井7―30―15嘉屋重さん 方。問い合わせは、電話082(877)2478。

【写真説明】「20万人の顔プロジェクト」に取り組む檜垣さん(左)と嘉屋重さん


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