NPTの「約束」どう実行 広島で国際シンポ

'00/7/30

 五月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の合意「核兵器の完 全廃絶に向けた明確な約束」をどう実行するか―をテーマにした国 際シンポジウム「二十一世紀の核軍縮の課題」(広島平和研究所主 催)が二十九日、広島市中区の広島国際会議場であった。核保有国 に圧力をかける国際世論づくりに非政府組織(NGO)など市民層 が取り組む必要性を説く意見が強く出た。

 米英の民間核軍縮研究所の代表各一人を含めた専門家五氏が討 論。合意を実現するための日本の役割について、再検討会議に日本 代表として加わった登誠一郎ジュネーブ軍縮大使は「被爆国とし て、核保有国に核兵器廃絶を一歩一歩説得していくしかない」と述 べた。これに対しNGO「ピースデポ」の梅林宏道代表は「日本は 米国の核の傘に依存しない政策を考えるべきだ」と反論した。

 英国アクロニム研究所のレベッカ・ジョンソン所長は「市民が政 府を動かして核兵器廃絶へ国際的な世論を作ることが必要」。米国 ヘンリー・スティムソンセンターのキャスリーン・フィッシャー上 級研究員も「二十一世紀の核軍縮はNGOや同盟国がNPTだけで なく、幅広く議論することで米国に影響を与えるべきだ」と強調し た。

 二百五十人の市民が参加した会場からは「日本は臨界前核実験を やめるよう、まず同盟国の米国に働きかけてほしい」などと要望や 質問が出た。登大使は「臨界前核実験はやらないに越したことはな いが、開発を目的とした地下核実験と違い、現在ある核兵器のメン テナンスだ」と答えた。

 司会を務めた大阪大大学院の黒沢満教授は「核兵器完全廃絶の明 確な誓約をスローガンに終わらせてはならない。市民ももっと勉強 し、政策に影響を持つ議員に働きかけていこう」と締めくくった。

【写真説明】NPT再検討会議の合意実現を話し合ったシンポジウム「21世紀の核縮軍縮の課題」(広島市中区の広島国際会議場)


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