特 集 
2000.3.22

線量限度、一般の50倍年間50mSv
乏しい根拠「経験で判断」

 生命や健康を守るため、被ばく線量の年間限度が原子炉等規制法などで定められている。一般人は一ミリシーベルトで、原発や核燃料施設などで働く放射線業務従事者は五〇ミリシーベルト。どちらの基準も、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告がベースになっている。

 なぜ複数の基準があるのか。ICRPの勧告に詳しい、大分県立看護科学大の草間朋子学長(放射線防護学)は、一般人の年間限度について「住む場所によって、浴びる自然放射線の量に違いがある。自然放射線量の世界的な地域差を考慮して、一ミリシーベルトと決められている」と説明する。

 五〇ミリシーベルトについては、ICRPが一九五八年の勧告で定めた。「当時は、原爆被爆者の疫学データも乏しく、経験的に判断したようだ。七七年の勧告でも、変える必要はないとの結論になった」と草間学長は話す。

 一方、被ばくによる白血病の労災認定の基準は「被ばくする業務に従事した年数」かける「五ミリシーベルト」以上の放射線を浴びた場合と定められている。

 原発や核燃料施設などで働き、年間五ミリシーベルトを上回る放射線を浴びた人は少なくない。放射線従事者中央登録センターの集計では、毎年三千〜六千人に上っている。

 年間限度との隔たりは大きいが、労働省は「より幅広く補償する労災の趣旨を踏まえ、安全を優先させる考え方に立って総合的に判断して決めた」(職業病認定対策室)と、目的の違いを強調している。


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