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被害の実態次世代に マーシャル諸島議員ら会見 '01/8/5

 米国が六十七回の大気圏核実験を行ったマーシャル諸島から、日 本原水協などの原水爆禁止2001年世界大会に参加している代表三人が四 日、広島市で会見した。今なお続く核被害の実態や、広島、長崎の 惨禍を次世代に伝えるため、首都マジュロに建設予定の平和記念館 (仮称)の具体的構想を明らかにした。

 アバッカ・マディソン上院議員と、ビキニ環礁自治体のエルドン ・ノート首長、マーシャル大・核クラブのグラン・ルイス会長の三 人。

 記念館は、放射能汚染除去が続くロンゲラップ島出身のマディソ ン上院議員が提案し、今春、市民を中心に建設推進委を立ち上げ た。

 がん、脱毛など健康被害の実態をはじめ、広島、長崎の被爆資 料、核廃絶運動を通じた日本側との連帯の歴史、失われていく自国 の文化も紹介する。ビキニ水爆被災五十周年の二〇〇四年三月一日 の開館に向けて資金集めを開始。呼び掛けに応じて日本でも、広 島、名古屋で募金活動が始まっている。

 マディソン上院議員は「核兵器によって何が起きるのか、次世代 を担う子供たちを教育する場にしたい」と、一層の協力を求めた。

 一方、過去の核実験被害の補償について、ノート首長は「不十分 だという声が強まっている」と批判。現在、補償の再検討を米国議 会に求めており、期限は年内。「故郷の島に帰れず、今も流浪の困 難にある。われわれは母なる大地と生活の補償を求めているのだ」 と語気を強めた。

【写真説明】記者会見で支援を訴える、左から上院議員らルイス会長、ノート首長、マディソン上院議員


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