中国新聞地域ニュース
同僚ら死傷に衝撃 国連軍縮会議参加者「許せぬ」 '03/8/21

 死傷者百人以上を出した駐イラク国連事務所の爆弾テロ事件は二十日、大阪市の大阪国際交流センターで開催中の国連軍縮会議参加者にも強い衝撃を与え、会場には悲しみが広がった。

 午前九時四十五分、会議に先立ち十八カ国、五十人余の参加者と、会議を傍聴する大阪市民ら約百人が一分間の黙とうをささげ、テロ犠牲者のめい福を祈った。

 事務次長など国連職員として長年勤めた日本紛争予防センターの明石康会長は特に発言を求め、死亡したかつての同僚セルジオ・デメロ国連事務総長特別代表の献身的な働きぶりを紹介した。

 国連が攻撃対象になったことに対しては「占領軍と立場が違うことが分かってもらえなくて残念だ。事件でたじろぐことなく、イラク人による暫定政権の樹立など復興に向け、独自の役割を果たしてほしい」と訴えた。

 休憩時間などでも話題となり、米軍とともにイラクを攻撃した英国の国会議員(労働党)マルコム・サビッジさんは「米英両政府が国連安保理決議を経ずにイラク戦争を始めたことが事件の根っこにある」と両政府を批判。一方で「国連職員を狙ったテロ行為は絶対に許せない」と語気を強めた。

 現在、約五百人の軍隊をイラクに派遣する韓国の千英宇・国連次席大使はテロを厳しく弾劾しながら「国連がイラクから撤退するようなことがあれば、テロリストの勝利を意味する。自衛隊のイラク派遣は日本人が決めることだが、テロ行為を理由に派遣を中止すべきではない」と語った。

 同僚や知人の死傷を知った他の国連職員らは「残念だ」「悲しい…」と、言葉少なだった。

【写真説明】イラクの国連事務所で起きたテロ事件の犠牲者を悼み、負傷者を気遣う国連軍縮大阪会議の参加者(大阪国際交流センター)



index | back | next