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チェルノ原発事故20年 ('06/4/20)

 ▽治療や研究を総括 ベラルーシ国際会議始まる

 【ミンスク19日共同】原子力発電所史上最悪の事故となったチェルノブイリ原発事故から二十年を迎えるのを機に、被災国の一つであるベラルーシ政府が主催する国際会議が十九日、ミンスクで始まった。二十年間の被曝(ひばく)者への治療や研究で培った経験を総括し、事故の教訓を次世代に伝えるのが目的。

 世界保健機関(WHO)や国際原子力機関(IAEA)などの機関のほか、約四十カ国から医療の専門家や支援団体関係者ら計約千五百人が出席。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は「事故を通じたベラルーシの経験は全人類にとって貴重な経験になった。この会議でさまざまな問題解決の道を探し出せるよう期待している」とのメッセージを寄せた。

 日本からは佐藤幸男・広島大名誉教授(放射線奇形学)や、医療支援活動などを行っている市民団体「チェルノブイリ支援運動・九州」(福岡県水巻町)の代表らが参加。現地の日本大使館による原爆展も会場で開かれている。

 会議は二十一日まで。二十日には放射能汚染の被害が深刻なベラルーシ南部ゴメリに会場を移す。チェルノブイリ原発のあるウクライナでも二十四日から同様の国際会議が開かれる。

 ▽事故調査の蓄積 世界に 広島の研究者の責務 会議参加の原医研・星教授

 ベラルーシで十九日始まったチェルノブイリ原発事故二十年の国際会議。被爆地広島の研究者として出席する広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)の星正治教授(放射線生物・物理学)に、事故の影響調査に取り組む意義を聞いた。(ミンスク=滝川裕樹)

 被災地の放射線量を調査するため、十五年前から二十回以上現地を訪れている。当初は、土壌やれんが、作物を採取して線量を測定した。現在は旧ソ連が事故当時に測定した数値などを基に、現地の研究者と共同で線量の解析を進めている。

 今回の会議では、南部のゴメリ州に次ぎ甲状腺がんの患者が多いのに、調査が及んでいなかった西部ブレスト州の各地区や被災者の年齢ごとの被曝(ひばく)線量について報告する。

 調査の目的は、大きく二つある。一つは被災者のためで、もう一つはわれわれ自身のためだ。瞬時に被曝した広島の原爆と違い、チェルノブイリではじわじわ被曝し、食物などを通じた内部被曝も重なった。被曝線量のデータをきちんと蓄積し、後世に役立てたい。

 被災者の被曝線量が分かれば、広島の被爆者と同じように、医師が定期検査を勧める際の確かな指標にもなる。(現地で検診活動に取り組む)武市宣雄医師=広島市南区=や、市民団体と協力しながら調査することで、現地の人に調査の結果を還元しやすい。

 (チェルノブイリに取り組むのは)広島の研究者の責務だと思っている。ヒロシマの蓄積を世界に広げることには大きな意義がある。(談)

    ◇

 星教授と武市医師は、広島市や広島県、医療・研究機関でつくる「放射線被曝者医療国際協力推進協議会」(HICARE)が国際会議に派遣。汚染のひどい南部のゴメリ市で二十日に開かれる専門家分科会で研究成果や活動内容を報告する予定。

【写真説明】「被曝線量のデータを蓄積して、後世に生かしたい」と話す星教授


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