米が臨界前核実験を強行

広島市長、米の臨界前核実験強行に抗議文送る(8月29日)
米国が9月に再び臨界前核実験(8月26日)
アジア記者が原爆小頭症の畠中さん取材(8月5日)
スモーレン前館長が原爆ドームを見学(8月5日)
被爆の教師と児童を追悼(8月4日)
碑文の一部が削られる(8月4日)
臨界前核実験に抗議の英文例作る(7月9日)
米実験強行に重ねて抗議する(7月4日社説)
臨界前核実験、座り込みなどで抗議(7月4日)
ヒロシマ市民の怒り渦巻く(7月3日)
広島市長が米大統領に抗議文(7月3日)
知事「CTBTに悪影響」とコメント(7月3日)
米国、臨界前核実験を強行(7月3日)
なぜ強行か米の臨界前核実験(6月29日社説)
米、7月2日実施決める(6月28日)
中止求め特別決議 被団協(6月10日)
外務次官に核軍縮推進を要請(6月7日)
廿日市市長も抗議文(6月6日)
呉市長が米大使館に要請文(6月4日)
広島・長崎の4団体 米に中止要請 (6月4日)
「核捨てる気ないのか」ヒロシマ怒りの声(6月1日)
平和文化を世界に広げるには(5月28日社説)
広島県被団協が抗議行動計画(4月19日)
日米政府に中止要請文(4月19日)
県原水協などの70人 抗議の座り込み (4月18日)
世界大会にネバダ・タヒチの被曝者招請(4月16日)
広島県原水禁 米に中止要請(4月16日)
広島・長崎の証言の会が抗議声明(4月15日)
広島市とIPPNW 米大統領に要請文(4月11日)
県被団協や山口地区労 40人が座り込み(4月10日)
「臨界前」抗議の座り込み(4月10日)
米は臨界前核実験の中止を(4月6日社説)
「軍縮の世論に逆行」怒り広がるヒロシマ(4月6日)
米 6月から臨界前核実験(4月6日)
ネバダ施設使い6月に実施 米が発表(4月5日)

 米国は7月2日(日本時間3日未明)、第1回の臨界前核実験をした。米国政府は4月 に実験計画を明らかにし、5月30日には実験を行うネバダ核実験場の施設を内外の報道 陣に初めて公開。実験に際しても付近の取材を許可して安全性を強調した。

 核兵器の廃絶を願い、どんな形での核実験にも反対してきた被爆地・広島はもちろん、 「核兵器のない世界」を目指す多くの人々の訴えに逆行する実験である。原爆投下によっ て核兵器の被害を直接体験した被爆者、平岡敬広島市長や広島県内自治体の首長、原水爆 禁止を訴えてきた市民団体は、計画の段階から次々に中止を求め、抗議の声を上げた。

 今回の臨界前核実験はその声を振り切っての強行。臨界に達する前に実験を停止すると はいえ、米国がひき続き核兵器を持ち続ける意思を持ち、過去の実験データと合わせて核 兵器の性能を維持しようとしていることは確かである。核爆発を伴う実験を禁じる包括的 核実験禁止条約(CTBT)が根底で求めている方向にも反する行為として、世界の反核 世論の批判が高まりそうだ。

【臨界前核実験とは】

 プルトニウムやウランが連鎖反応で次々と核分裂を起こす「臨界」に達する直前に実験を停止し、停止までの間に核物質のさまざまな反応や動きを調べる核爆発の模擬実験の一つ。過去数多くの核実験を繰り返してきたネバダ核実験場の地下約三百メートルに実験装置を持ち込み、数百キロの高性能火薬を爆発させて生じた衝撃波をプルトニウムに当てる。この結果を高性能コンピューターによる解析と組み合わせ、核兵器の安全性や信頼性を検証するのが目的。核物質は使用するものの核爆発は伴わないため、米政府は包括的核実験禁止条約(CTBT)に沿ったものと強調している。(4月5日付中国新聞夕刊)



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広島市長、米の臨界前核実験強行に抗議文送る

'97/8/29

 広島市の平岡敬市長は二十八日、米国が九月中旬に予定している 二回目の臨界前核実験の実施について「核実験を継続・強行する姿 勢に強い憤りをもって抗議する」と、ラスト・デミング駐日米国臨 時大使あてに抗議文を送った。

 抗議文は、臨界前核実験は「包括的核実験禁止条約(CTBT) の発効を一層危うくさせ、新たな核開発競争を引き起こす可能性を 持つ」と指摘。「核保有国の責務として、国際社会における核軍縮 の潮流を受け止め、核実験を即時に全面中止し、核兵器の廃絶に向 けて積極的な取り組みを進めるよう強く求める」と訴えている。


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米国が9月に再び臨界前核実験

'97/8/26

 【ワシントン25日共同】米エネルギー省当局者は二十五日、臨界 前核実験を九月にネバダ州の核実験場で実施すると述べた。中旬ご ろになる見通しで、来週中にも正式に発表する。

 核兵器の性能維持が目的で、七月二日の実験に次いで二度目。米 政府は「核実験ではない」と主張しているが、第一回実験の際は中 国が反発したほか、国際環境団体グリーンピースが抗議活動を繰り 広げており、米国の強硬姿勢が国際的に波紋を呼びそうだ。

 実験では、ネバダ核実験場に掘られた地下坑で高性能火薬を爆発 させ、実験装置に据え付けた核兵器用プルトニウムの核分裂が臨界 に達する直前に実験を中止。この際に発生する衝撃波を分析し、核 兵器の劣化状態を調べる。前回は約一・五キロのプルトニウムが使用 された。

 中国は包括的核実験禁止条約(CTBT)に広い意味で抵触して いるとの見解を示しているが、米政府は核爆発ではなくCTBTの 禁止条項には該当しないと反論、実験継続の方針を表明していた。

 米政府は当初、昨年六月に実験を行う計画だったが、CTBT交 渉への悪影響を避けるため今年夏まで延期しており、遅れを取り戻 すために実験を急いでいるとみられる。(共同)


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アジア記者が原爆小頭症の畠中さん取材

'97/8/5

 広島国際文化財団(山本朗理事長)が主催する「アジア記者招請 プロジェクト」でヒロシマを取材中のジャーナリスト四人が四日、 岩国市で原爆小頭症の畠中百合子さん(51)と父親の国三さん(81)を 取材した。

 一行は、国三さんが経営する同市川下町二丁目の理髪店と自宅を 訪問。百合子さんを妊娠していた妻の敬恵さん(七八年に死亡)が 爆心地から約七百三十メートルで被爆した時の状況、現在の百合子さんの 生活などについて、国三さんの説明を聞いた。

 国三さんは「百合子は原爆の悲劇を伝える使命を持って生まれて 来た、と思い証言を続けている。原爆の被害は未来にもつながると 知って」と四人に訴えた。

 記者たちは「国三さんが亡くなったら、だれが百合子さんを世話 するのか」「原爆を投下した国の軍隊が現在岩国にいることを、ど う思うか」などと真剣な表情で質問していた。

 タイの英字紙バンコクポストの女性記者、クンチャリー・タンス パボンさん(27)は「テレビのドキュメンタリー番組などで知っては いたが、実際に百合子さんに会い、被害の実態に衝撃を受けた。帰 国後、国三さんの話を記事にまとめたい」と話していた。

【写真説明】国三さんと百合子さん(左から2人目)を取材するアジア記者


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スモーレン前館長が原爆ドームを見学

'97/8/5

 ポーランド国立アウシュビッツ博物館のスモーレン前館長が四 日、アウシュビッツ強制収容所と同じ世界遺産に登録された原爆ド ームなどを見学し、「今世紀最大の悲劇を、ともに語り継いでいか なければ」と印象を述べた。

 スモーレン前館長は、前田耕一郎副館長の説明を受けながら、原 爆資料館を見学。白血病で亡くなった佐々木禎子さんが病床で折っ たつるの展示前で足を止め、「平和を願う少女の話に、最も感動を 受けた。原爆の悲劇を伝えることは難しいが、若い世代に伝える努 力が必要」と語った。

 この後、原爆ドームを訪れ、ナチス・ドイツにとらわれた自身の 体験を思い起こすように、「原爆犠牲者の共通のお墓のようだ」と 指摘。「戦争被害の象徴として、アウシュビッツとともに後世に残 していく意義は大きい」と話していた。

 スモーレン前館長は一九五五(昭和三十)年から九一年までの在 職中、アウシュビッツ強制収容所の世界遺産化に尽力し、現在は、 博物館で語り部活動を続けている。五日の連合平和ヒロシマ集会に 出席し、「強制収容所の実相」をテーマに講演をする。

【写真説明】原爆資料館を見学するスモーレン前アウシュビッツ博物館長


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碑文の一部が削られる

'97/8/4

 「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」の碑文の一部が削られて いるのを四日朝、慰霊祭に参列した教職員らが見つけた。関係者は 「8・6を前になぜ」と憤慨している。

 削られたのは、ブロンズ像の台座に記されている歌人正田篠枝さ んの短歌の一部。ブロンズ製の凸版で「太き骨は先生ならむ」の 「太」の部分が「大」になっていた。

 台座の「太き」という表記については、一九七一(昭和四十六) 年の碑建立当時、一部の歌人から「大き」だという反論が起きてい た。全国被爆教職員の会の石田明会長は「経緯に詳しい人の手によ るものではないか。碑の字を勝手に削るのは言語道断」と、広島中 央署へ届け出た。

 被爆した女性教師が教え子を抱いている「教師と子どもの碑」 は、広島国際会議場南側の緑地帯にあり、高さ三・六メートル。短歌は、 六五年に亡くなった正田さんの歌集「さんげ」から抜粋した。

【写真説明】「太」が「大」に削られた碑文(白線内)


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被爆の教師と児童を追悼

'97/8/4

 原爆で犠牲になった広島市内の国民学校の児童・生徒や教師らを 追悼する「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑慰霊祭」が四日朝、 中区の平和記念公園南側にある碑前であった。

 市内の小、中学生や遺族ら約九百人が参加。子どもたちを代表し て東区の福木小六年竹下沙弥香さん(12)が「平和という二文字をみ んなで口にし、伝えていけば戦争は起こらない」と呼び掛け、小、 中八十四校の児童・生徒らが折りづるや花を碑にささげた。この 後、ひろしま少年少女合唱団が当時の童謡や「青い空は」など平和 を訴える歌を合唱し、全員で犠牲者のめい福を祈った。

 中区昭和町の自宅で小学二年の息子真三郎さん=当時(8ツ)=と一 緒に被爆した玉田冨子さん(89)は、「家の下敷きになって亡くなっ た息子の姿が忘れられない。合唱団の歌を聞き、息子がよく歌を口 ずさんでいたのを思い出した」とハンカチで目頭をおさえていた。

 慰霊祭は碑維持委員会の主催で、今年で二十七回目。


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臨界前核実験に抗議の英文例作る

'97/7/9

 平和・民主主義広島県労組会議(中垣八朗議長)と県原水禁は八 日、米国の臨界前核実験に抗議する英文のファクス文例を作製し た。市民レベルでホワイトハウスや米国大使館へ送るよう呼び掛け ている。

 抗議文は二種類。一つは「Total Nuclear Abo lition!(すべての核兵器廃絶を)」で始まり、「包括的核 実験禁止条約(CTBT)の精神に反し、国際世論を無視する臨界 前核実験に強く抗議する」との内容が、英文で書いてある。もう一 つは実験反対と、米大統領が世界の核兵器廃絶に向け、指導力を発 揮するよう求めている。いずれも個人や団体名を書き込めば、その まま送れる。

 県原水禁などは、既に米大統領に抗議文を送っているが、市民へ の参加要請は初めて。宮崎安男代表委員は「多くの人が参加し、被 爆地の抗議の意思を伝えてほしい」と話している。

 あて先のファクス番号と抗議文の問い合わせは、電話082(2 61)9255(県労会議)。


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米実験強行に重ねて抗議する(社説)

'97/7/4

 米政府は予告通り、「臨界前核実験」と呼ばれる一連の核物質実 験の一回目を、ネバダ州の地下核実験場で強行した。被爆地である 広島や長崎などの再三の中止要請を踏みにじっての実験であり、裏 切られた思いである。国際世論の抗議に対して、米政府は「保有核 兵器の性能維持に不可欠」(エネルギー省)と抗弁する。しかし、 せっかくの「包括的核実験禁止条約(CTBT)」を空洞化し、核 の拡散にもつながりかねない暴挙である。

 米国はCTBTによって核実験を全面禁止する代わりに、新型核 兵器を開発する能力と基盤は保持する、との政策に立っていると思 われる。あくまで核の主導権を握ろうとする核抑止戦略だ。

 昨年五月に米エネルギー省が一部公表した「核兵器性能維持・管 理計画(核スチュワードシップ計画)」は、地下核実験場の代わり に、地上に様々な模擬実験場を整備しようとしている。それらの施 設の目的は核兵器の性能の維持だけにとどまらない。米の科学者団 体であるエネルギー環境研究所は「核スチュワードシップ計画のす べての施設は、既存核兵器の改良はもとより、新型核兵器の設計、 プロトタイプ(原型)作成の能力を持っている」と報告している (西脇文昭防衛大助教授「CTBTの抜け穴になり得る米国の『模 擬核実験計画』」)。

 今回を含め合計六回予定している臨界前核実験は当然、核スチュ ワードシップ計画という新型核兵器開発能力維持政策につながる。

 「米国が現在最も力を入れているのは、小型および超小型核兵器 の開発である」という豊田利幸名古屋大名誉教授の指摘も不気味で ある。通常兵器と同じように使える小型核兵器が存在することを米 国は示したいからだ、と分析する。五月三十一日付の米紙ニューヨ ーク・タイムズは、米国が地下の司令室や工場を破壊しながら、地 表破壊の少ない新型核爆弾「B61」を配備した、と報じた。「使え る核兵器」の主張が根底にありそうだ。核兵器使用への精神的な歯 止めさえ、崩しかねない危険性を感じる。

 今回の実験は、新型核兵器の開発のためではない、と米国がいく ら否定しても、周辺の兆候は逆に疑惑を深めさせる。模擬実験に歯 止めのないCTBTに反発するインドやパキスタンを一層硬化さ せ、他の核大国を模擬実験競争へと駆り立てる結果につながる恐れ もある。「核兵器の質的改善、新型核兵器開発を抑制し、すべての 核兵器爆発実験と他の核爆発を中止することが核軍縮と核拡散防止 の効果的措置となる」とうたったCTBT前文の精神はもろくも崩 壊しそうである。それは米国も最も避けたいことではなかろうか。

 核兵器システムの問題を経済面から研究している立命館大の藤岡 惇教授によると、いまの米国経済の好調を支えているものは、核兵 器の発射基地や運搬手段、情報・通信・管制や防衛のシステムとい った周辺技術の民需転換からきているという。だから核兵器システ ム本体を廃止しても米国経済にほとんどマイナス効果はないと分析 する。経済面から見れば核兵器廃絶の機は熟している。

 核廃絶の流れへの最後の抵抗が今回の実験かもしれない。世論の 高まりでぜひとも阻みたい。


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臨界前核実験、座り込みなどで抗議

'97/7/4
7月4日付の紙面

1面

3面

社会面

 「ヒロシマは許さない」。米国が初の臨界前核実験を強行した三 日、広島の被爆者らは一斉に反発、座り込みや抗議文で怒りを表し た。海が泡立つ南太平洋での地下核実験などとは異なる「見えざる 核実験」に、危機感を強めた。

 広島市中区の原爆慰霊碑前では、連合広島や広島県被団協(伊藤 サカエ理事長)など十三団体の約百二十人が、「アメリカの臨界前 核実験に抗議する 核兵器廃絶を早期に!」との横断幕を掲げ、午 後六時から三十分間座り込んだ。

 県被団協の坪井直事務局長が「核爆発がなくても、実験は核兵器 使用を前提にしている。核兵器廃絶を求める国際世論と手を携え、 米国に核抑止論を改めさせよう」と呼び掛け、無言の抗議を続け た。

 幅広い結集を図るため、今回から広島県原水禁に代わり、連合広 島と県被団協が前面に出たため、連合傘下の若手組合員の姿も。今 回から統一アピールは出さず、各団体が波状的にクリントン米大統 領らに抗議文を送ることにした。

 もう一つの広島県被団協(金子一士理事長)や県原水協などは正 午過ぎ、約八十人が座り込んだ。県原水協の藤田厚吉代表理事は 「今回の実験で、米政府は新たな核兵器開発を狙っている。国際世 論への挑戦だ」と語気を強めた。

 広島県双三郡三良坂町の平和を願う会(会長・湯免龍夫町長) も、午後零時半から二十五分間、町中央公民館前の平和公園で座り 込みをし、町民七十二人が参加した。

 各団体代表が次々と決意表明をし、クリントン大統領や駐日大使 に送る抗議文を読み上げた。同会は三年前から中国、フランスの核 実験に抗議の座り込みを続けており、今回が九回目。

▽広島市民ら強行に怒りの声

 米国が臨界前核実験を強行した三日、広島市内の平和記念公園や 繁華街では、「核超大国のごう慢な姿勢」に怒りの声が相次いだ。 しかし、初の核爆発を伴わない核実験に「現実味がわかない」と戸 惑う市民もいた。

 平和学習で原爆資料館を見学した安佐北区可部東三丁目、白木高 三年梶田俊和さん(18)は「実験はもちろん、核兵器を持ち続けるこ とが許せない」。札幌市から出張中の団体職員今泉忠雄さん(38) は、包括的核実験禁止条約(CTBT)では、臨界前核実験が対象 外になっていることについて、「抜け穴がないように、条約を見直 す必要がある」と訴える。

 米国・カリフォルニア州から安佐南区に里帰りしている美容師由 美・デモレストさん(48)は、米国内で学生が抗議デモをしているこ とを挙げて、「米国人の大半は実験に反対している。日本の若者も 立ち上がってほしい」と呼び掛ける。

 中区の繁華街では、被爆者の中区中島町、主婦佐野民江さん(68) が、「大義名分をつけても、結局は最新兵器開発のために違いな い」と、核兵器の安全管理を実験理由に掲げる米国への疑いを強め る。安芸郡府中町みくまり三丁目、会社員白根義男さん(52)は「核 軍縮が逆戻りしてしまうのでは」と懸念。西区庚午北四丁目、無職 引地満雄さん(83)は「市民の抗議の声を集めて、米国に送らなくて は」と力を込めた。

 一方、安佐南区西原二丁目、広島経済大四年粟村浩平さん(21) は、核爆発で太平洋の青い海が沸き立つ映像が、世界に衝撃を与え た一昨年のフランス核実験に比べ、「今回は実験内容が複雑なう え、視覚に訴える部分がないだけに、実感が持てない」と、話して いた。


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ヒロシマ市民の怒り渦巻く

'97/7/3

 米国が臨界前核実験を強行した三日朝、広島市中区の平和記念公 園で、平和グループや宗教団体による抗議行動があり、一斉に怒り の声が上がった。

 原爆慰霊碑前では午前十時半から、市民グループ「ヒロシマ・平 和のリボンの会」(渡辺美代子代表)の六人が、「臨界前核実験を やめよう」と書いたリボン(縦五十センチ、横一メートル)二十五枚を連ね、 米政府への怒りを表した。

 修学旅行の高校生も飛び入り参加。核兵器廃絶の願いを込めたリ ボンを手に、渡辺代表らは「東西冷戦が終わったのに、核軍縮に逆 行する大国のエゴイズムは断じて許せない。核兵器廃絶が遠のくば かり」と憤慨していた。

 また、「カトリック正義と平和広島協議会」(後藤正史代表) は、午前六時半から原爆ドーム前で「平和祈とう集会」を開いた。 カトリック信徒ら約十人が、「臨界前核実験は、核兵器のない世界 を切望しているヒロシマの願いに真っ向から挑戦する」と訴えた。

 広島県被団協(金子一士理事長)や県原水協などは午後零時十五 分から、原爆慰霊碑前で抗議の座り込みをした。


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広島市長が米大統領に抗議文

'97/7/3

 米国の臨界前核実験強行を受け、広島市の平岡敬市長は三日、ク リントン大統領に抗議文を送るとともに市役所で会見、強い抗議の 意思を示し、核兵器廃絶への努力を求めた。

 平岡市長は「広島、長崎両市や被爆者団体の再三の中止要請を無 視した実験強行は誠に遺憾で、厳重に抗議する」と述べた。臨界前 核実験は、昨年九月に国連総会で採択された包括的核実験禁止条約 (CTBT)の対象外ながらも、「核兵器を持ち続ける意思の表れ で、(CTBTに反対する)インドなどを刺激し、核兵器開発競争 を再燃させる」と危機感をにじませた。

 米国は、同じ実験をあと五回予定している。「粘り強い抗議の積 み重ねが国際世論をつくる。無力感にとらわれず、世界平和連帯都 市市長会議や海外での原爆展を通じ、絶え間なく核兵器廃絶を訴え ていきたい」と強調した。

 さらに、CTBTで義務づけられた軍縮努力に触れ、「核大国の 責任は大きく、自制をしなければ核拡散防止条約(NPT)体制は 崩れる」と指摘した。

 ▽呉市長も抗議電

 小笠原臣也呉市長は、強行された米臨界前核実験に対し三日、ラ スト・デミング駐日臨時米大使に抗議電報を打った。  実験は核兵器廃絶に向けての国際世論を踏みにじるものであり、 核開発競争再開の糸口になりかねない、と抗議。被爆国日本の非核 宣言自治体として、「実験実施に厳重に抗議し、臨界前核実験の即 時中止を強く要請する」としている。


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知事「CTBTに悪影響」とコメント

'97/7/3

 広島県の藤田雄山知事は三日、米国の臨界前核実験が、包括的核 実験禁止条約(CTBT)の早期発効に悪影響を与えることを懸念 するコメントを出した。

 藤田知事は、昨年九月の国連総会でCTBTが採択され、各国に 早期批准が求められている中で臨界前核実験を強行したことについ て、「国際社会の動きに対し、決して良い影響を与えることになら ない」と批判。「米国は国際世論と県民の思いを真しに受け止め、 核兵器のない平和な世界の実現に向けて一層の努力をするよう期待 する」としている。


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米国、臨界前核実験を強行

'97/7/3

 共同通信によると、米政府は米太平洋夏時間二日午前十時(日本 時間三日午前二時)、米国が現在保有する核兵器の性能を維持する ためとして、臨界前実験と呼ばれる核物質実験をネバダ州の地下核 実験場で実施した。

 米政府は「核物質は使うが物理実験であり核爆発は伴わない。包 括的核実験禁止条約(CTBT)の規制の対象外」と強調してい る。

 しかし、広島、長崎両市長ら米内外の反核団体関係者らは「地下 核実験と区別できずCTBTの精神を大きく傷付ける」と反発。イ ンドやパキスタンも米国を厳しく批判するなど今後、米国に対し厳 しい国際世論が高まるのは必至だ。

 「リバウンド」と名付けられた第一回実験は、ネバダ核実験場の 地下約三百メートルの地下坑道に作られた小部屋内の三つの実験装置に古 くなった核兵器中の約一・五キロのプルトニウムを装荷。これに約七 十五キロの高性能火薬を爆発させて、核分裂性のプルトニウムが連鎖 反応を起こす直前までを再現、正常な反応を示すかどうか調べた。

 実験は火薬の爆発から、わずか千分の二秒で終了。約四百人の担 当者が地下坑から二・五キロ離れた管制室などで、一九九二年九月に 最後の地下核実験が行われて以来の大規模実験を見守った。

 実験の目的は米軍が保有、保管する核兵器の性能が維持されてい るかどうかの確認。これまでは地下核実験で古くなった核兵器を実 際に爆発させて性能や信頼性を調べていたが、核実験の全面禁止を 受け、臨界前核実験は模擬実験によって保有核兵器の性能維持を図 る米戦略の柱となる。二回目は八月にも行われる予定だ。

 米政府は一九九五年十月に計画を発表。インドやパキスタンは 「実験はCTBT時代の米国の核優位を確実にするだけ」と強く反 発していた。

 また広島、長崎両市長がクリントン大統領に実験中止の書簡を送 付。米反核、環境団体は「実験の真の狙いは新型核兵器の開発や核 実験再開に向けた態勢維持」と指摘している。

 実験終了後、記者会見したエネルギー省のスタファン副次官補は 「実験は無事終了した。臨界前実験は仮想核実験であっても、従来 の核実験ではない。米国の核兵器の信頼性を維持するうえで不可欠 であり、新型の兵器開発を狙ったものではない」と語った。


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なぜ強行か米の臨界前核実験(社説)

'97/6/29

 米エネルギー省当局者は核兵器の安全性などの維持のため、 初め ての臨界前核実験を七月二日、ネバダ地下核実験場で行う ことを明 らかにした。これは核のない世界を求める国際世論に、真 っ向から 挑戦する決定であり、許せない暴挙と言わざるを得ない。

 米政府は当初、昨年六月に一回目の実験を行う計画だった。とこ ろが、 インドなどが「包括的核実験禁止条約(CTBT)の空洞化 につながる」と反 発。米政府も当時、大詰めを迎えていたCTBT 交渉への影響を考慮して 延期した。次いで、今年に入り六月実施を 決めたが、主要国首脳会議 (デンバー・サミット)や国連環境開発 特別総会とのぶつかりを避けて来月 実施としたようだ。

 こうして、あれこれ実験時期を模索したこと自体が反核世論を前 に、若 干の後ろめたさを感じている証左だろうか。それでも米政府 は「臨界前に 実験を中止するのでCTBTの対象外」との高姿勢を 変える気配は見えな い。

 核物理学者の豊田利幸氏は「臨界前核実験とは、一口にいえば小 型核 兵器の研究のための実験である」と指摘する。また、原爆を開 発したマン ハッタン計画に関与、戦後ノーベル賞を受賞した米物理 学者も同じ立場 から「新型核弾頭の開発につながる恐れがある」と 強く反対する書簡をクリ ントン米大統領に送ったことが先月、明ら かになっている。

 核実験は、昨年九月の国連総会でCTBTが採択されたことで、 核保有 国の批准とともに、すべて禁止である。だが、核兵器が残っ ている限り、そ の安全性の確認や維持管理にかこつけた臨界前核実 験やコンピュータ ーによる模擬実験を続けざるを得ないというのが 保有国の論理らしい。

 そのため、核保有五カ国は一昨年から昨年にかけて南太平洋で核 実験 を強行したフランス、同様に昨年、駆け込み実験を行った中国 も含め、そ ろって臨界前核実験を中核とする模擬核実験の技術をほ ぼ手中にしたの ではないか。

 ところが、今回の米国の実験は米政府の発表では、かなり大がか りだ。 しかも、従来の地下核実験と違い、実験内容が外部から検証 しにくいとい う。ともかく、いろいろ問題点の多い模擬核実験競争 が、今度の米の実験 を契機に起きるとすれば大変な事態だ。

 なによりCTBTの形がい化がこわい。何と言ってもCTBTは 核兵器廃絶 の第一歩である。ところが、逆に、米の臨界前核実験は 核拡散の危険性 を大きくしかねない。既に、広島、長崎の両市長は クリントン大統領あてに 即時実験中止を求める書簡を送っている が、平岡敬広島市長はきのう、 あらためて実験中止を求める抗議文 を大統領へ送った。

 同時に、広島の被爆者や原水禁団体も「核兵器廃絶の国際世論に 逆 行する」と一斉に批判の声を上げるとともに、実験阻止へ向け、 世界の非 政府組織(NGO)と連携した抗議行動を探る構えも見せ ている。一方、米 国内でも約四十の環境、反核団体が先に、実験の 差し止めを求める訴訟 をワシントンの連邦地裁に起こしている。

 こうして日米を中心に盛り上がる世論で、米国の臨界前核実験を 中止に 追い込みたい。米国も真しに核のない世界を希求する多くの 人たちの声 に耳を傾けるべきだ。


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米、7月2日実施決める

'97/6/28

 ワシントン27日共同】米エネルギー省は、米国が核兵器の性能 などを維持するためにネバダ州の核実験場で行う臨界前核実験を七 月二日に実施することを決めた。二十七日夜、同省当局者が明らか にした。

 実験の差し止め訴訟を起こしている米環境団体などは「包括的核 実験禁止条約(CTBT)の狙いを無視した暴挙」と実験の強行方 針に反発しており、今後、内外から米政府に対する批判の声が強まりそうだ。

 同省によると、ネバダ核実験場の地下約三百メートルに掘られた地下坑 に据え付けらた実験装置に、約一・五キロの核兵器用プルトニウムを 装荷し、約七十五キロの高性能火薬を爆発させるが、プルトニウムの 核分裂が臨界に達する直前に実験を中止。得られた衝撃波を最先端 装置で分析して核兵器の劣化状態などを調べる。

 米政府は当初、昨年の六月に一回目実験を実施する計画だった が、インドなどが「CTBTを空洞化させる」と反発。米政府は当 時、大詰めを迎えていたCTBT交渉への影響を考慮して約一年延 期し、主要国首脳会議(デンバー・サミット)や国連環境開発特別 総会などを終えた時期の実施を模索していた。

 臨界前核実験は(1)過去八百回以上もの地下核実験が繰り返された 実験場を使う(2)実験内容が外部から検証しにくい(3)約一・五キロとい う過去の地下核実験の一回分の三分の一から四分の一のプルトニウ ムを使う―ため、米内外から批判の声が強まっている。

 特に広島、長崎両市長がクリントン大統領に実験中止の書簡を送 ったほか、米国の約四十の環境、反核団体は五月初めに実験差し止 め訴訟をワシントン連邦地裁に起こしていた。

▽計画の白紙撤回強く求める/広島市長

 本市や被爆者らの再三の中止要請にもかかわらず、米国が七月に 臨界前核実験を実施すると決めたのは誠に遺憾である。計画の白紙 撤回を強く求める。米国の新たな核実験が引き金となり、核兵器開 発競争が再燃し、国連で昨年九月採択された包括的核実験禁止条約 (CTBT)が骨抜きになることに危機感を覚える。核超大国は今 こそ、国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見をはじめとした国際 世論に真しに耳を傾け、核兵器のない世界の実現に向けて努力する 責務がある。


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中止求め特別決議 被団協

'97/6/10

 日本被団協は九日、都内で開いた第四十二回定期総会で、被爆体験の継承などの活動方 針を決めたほか、米国が近く実施する計画の臨界前核実験の中止を求める特別決議を採択 。二日間の討議を終えた。

 総会には都道府県代表の理事ら六十人が出席。本年度は、今夏から全国で開催を呼び掛 ける写真パネル展「原爆と人間展」を軸に据え、被爆体験の継承を重点活動にすることを 申し合わせた。

 このほか▽核抑止政策に反対し、核兵器廃絶条約を目指す国際活動▽被爆者援護法に基 づく特別葬祭給付金の支給対象拡大▽被爆者調査や相談活動の推進―などの方針を確認し た。

 役員人事では、事務局長の斉藤義雄氏が病気療養中であるため、藤平典事務局長代行を 後任に選んだ。一方、伊東壮、伊藤サカエ、山口仙二の各代表委員はそれぞれ再任された。


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外務次官に核軍縮推進を要請

'97/6/7

 広島県内の被爆者七団体の代表が六日、広島市中区の広島国際会議場で、核軍縮などに ついて外務省の林貞行事務次官と懇談した。外務事務次官との懇談は一九九四(平成六) 年の十二月以来、二回目。被爆者側は「被爆国としてリーダーシップを発揮し、核軍縮を 進めてほしい」と要請した。

 懇談会には、二つの県被団協の伊藤サカエ、金子一士の両理事長や県朝鮮人被爆者協議 会の李実根会長、広島被爆者団体連絡会議の近藤幸四郎事務局長ら二十四人が出席した。

 米国が今月末に予定している臨界前核実験について、「政府はただちに中止要求を」な どと訴えたのに対し、林事務次官は「包括的核実験禁止条約(CTBT)でも禁止になっ ておらず、核軍縮に向けて将来の課題」と述べるにとどまった。

 このほか「韓国や朝鮮民主主義人民共和国など在外被爆者の支援を積極的に」「国家補 償に基づく被爆者援護法に改正を」「核兵器使用の違法性を明確化に打ち出すべき」など と訴えた。

 また、広島市などが実施している海外での原爆展への協力要請に対して、林事務次官は 「これまでも原爆展に大使などを派遣している。具体的な支援方法は個別に検討していき たい」と答えた。


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廿日市市長も抗議文

'97/6/6

 米国の臨界前核実験計画に対し、廿日市市の山下三郎市長は五日、「今回の実験は核兵 器の維持、強化、開発を公言したものであり、核拡散の危険性を高める。即時、中止すべ きだ」などとする抗議文を在日米国大使館へ郵送した。


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呉市長が米大使館に要請文

'97/6/4

 呉市の小笠原臣也市長は、米国がネバダ核実験場で今月に予定している臨界前核実験の 中止を要請する文書を三日、在日アメリカ大使館に送った。

 文書では、五月末に実験施設を公開、実験内容を明らかにしたことを批判したうえで、 「実験は核開発競争を再燃させる恐れがある」と指摘。実験計画の中止を強く求めている。


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広島・長崎の4団体 米に中止要請

'97/6/4

 米国が近く実施を計画している臨界前核実験に抗議し、広島県被団協(伊藤サカエ理事 長)など広島、長崎の四つの被爆者・平和団体は三日、米国大使館を訪れ、計画の中止を 求めるクリントン大統領あての要請書を提出した。

 広島県被団協と長崎県被爆者手帳友の会、原水爆禁止広島県協議会、同長崎県民会議の 代表ら十人が参加した。要請書は「米国の臨界前核実験は、包括的核実験禁止条約(CT BT)の発効を危うくし、核軍縮へ向かう国際世論に逆行する」と非難。世界最大の核兵 器保有国である米国が、すべての核実験禁止に率先して取り組むよう求めている。

 広島県被団協の池田精子副理事長が大使館の玄関前で読み上げ、大使館職員に手渡した 。大使館側は「本国に伝える」と答えた。これに先立ち、四団体の代表は外務省を訪れ、 被爆国政府として、米国に計画撤回を求める行動を直ちに起こすよう要請した。


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「核捨てる気ないのか」ヒロシマ怒りの声

'97/6/1

 米国が六月に実施する臨界前核実験の全容が明らかになった三十一日、被爆地広島では 被爆者たちから「核大国のエゴだ」などと怒りの声が上がった。実験に反対する市民集会 もあった。

 広島県被団協の伊藤サカエ理事長は「私たちが何を言っても、米国は核抑止力を捨てる つもりがないのか。核開発意欲を持つ他国への影響も心配だ」。もう一つの県被団協の末 宗明登事務局長も「核爆発を伴わないとはいえ、従来の核実験と本質的に変わらず、核開 発競争の導火線にもなりかねない。実験の全面停止と核兵器廃絶を求める国際社会への挑 戦であり、絶対に許せない」と憤る。

 一方、実験に反対する集会「未臨界核実験と核兵器のない21世紀を考える市民のつど い」が、広島県原水協などでつくる実行委員会主催であり、被爆者ら約八十人が参加。庄 野直美広島女学院大名誉教授らが米国の実験について解説し「核武装の優位性を永久化し ようとの狙い」などと批判した。

 広島県原水禁などは、広島、長崎の被爆者団体の代表とともに三日、米国大使館と外務 省を訪れ、実験の中止を求める。


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平和文化を世界に広げるには(社説)

'97/5/28

 スペインのバルセロナでは今、広島市が欧州各都市に開催を呼び掛けた「ヒロシマ展」 が開かれている。丸木位里・俊夫妻の「原爆の図」や、炎の尾を引いて落ちる無数のチョ ウを描いた亀倉雄策氏のポスター「ヒロシマ・アピールズ」などがバルセロナ市民の心を 揺さぶった。さらに、フランスやドイツなどの十一都市が受け入れを表明している。今回 の欧州ヒロシマ展は、巡回期間を一年間としているが、それでは要望に応じきれまい。平 岡敬市長が言うように、平和の願いを各都市がリレーしていくためにも、期間の延長も含 めて、ヒロシマからの希望の発信を続けていきたい。

 平岡市長は「欧州では原爆投下を一時的な惨劇ではなく、人類史上の出来事として大き くとらえている」と、現地の印象を語った。原爆を最初に開発し、投下した米国とは違っ て、今世紀に二度の大戦を体験し、歴史を共有する欧州の市民は、まさに人類の悲惨とそ の癒(いや)し、希望の回復の象徴として広島や長崎の被爆体験を位置付けているに違い ない。

 「平和文化の創造」とは、昨年八月に広島、長崎両市長が原爆記念日に読み上げた平和 宣言の、主要な文脈でもあった。包括的核実験禁止条約(CTBT)は成立したものの、 米国は核爆発を伴わない臨界前核実験を強行しようとしている。成功すれば、その実験デ ータは欧州の核保有国にも輸出される可能性は高い。ヒロシマ展を介して広範な欧州の市 民に、核との共存は不可能であることを語りかけるには、より多面的な取り組みが必要で はないか。

 例えば、ポーランドのアウシュビッツと広島を重ね合わせて、抵抗文学を比較研究して いる留学生がいる。広島の現代詩をポーランド語に訳し、本国に紹介している。このよう に、人々の間に、さまざまに紡ぎだされている言葉を集約し、国境を超えて反核の意思を 伝え合う場もいるだろう。そのためのセンター的な機能を広島市が担ってもいいのではな いか。

 そうした視点は、アジア諸国にも向ける必要がある。国境を接するインド、パキスタン は、核開発への誘惑が強い。既に、現実に保有しているかもしれない疑惑も、本紙記者は ルポしている。核抑止論が幻想にすぎないことを、あらゆる表現方法を駆使して伝えてい くことは、被爆地の市民にとっても急務である。人権抑圧に抗議し、環境問題に鋭い提言 をするアジアの現代芸術などに目を向け、交流する機会も持ちたい。

 ポーランドの作曲家クシストフ・ペンデレツキ氏の作品に「広島の犠牲にささげる哀歌 」という弦楽オーケストラがある。広島交響楽団は一九九四年夏の定期演奏会で、ペンデ レツキ氏自身の指揮で好演した。それは「広島の犠牲者への祈り、平和への願いを込めた 『同行二人』の姿そのもの」(作曲家・伴谷晃二氏)だった。広響は今秋、その一曲をプ ログラムに加えてフランス公演に行く。

 ヒロシマ展も広響の旅も、この半世紀に世界の芸術家や市民がヒロシマに寄せた癒しの 心を誠実に打ち返していく一歩といえる。平和を希求する世界の人々とさらに連携を強め 、異なる文化、異質の価値が交響しあう舞台を創造していくことが、市民的な反核・平和 の輪を広げていく道と思う。


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広島県被団協が抗議行動計画

'97/4/19

 県被団協(伊藤サカエ理事長)は十八日、組織強化対策委員会・拡大事務局合同会議を 開き、米国の臨界前核実験への抗議行動や長崎、沖縄との連帯強化や、放射線影響研究所 (重松逸造理事長)の案内パンフレットを全面改定を求めることなどを決めた。

 広島、呉、三原、福山地区の責任者らが出席。米国が臨界前核実験を強行した場合に県 原水禁など十三団体でつくる「核兵器廃絶広島平和連絡会議」を通じて、広島市中区の平 和記念公園内の原爆慰霊前で抗議の座り込みをする。

 四月末に長崎の被爆者団体を招き、国が計画している「原爆死没者追悼平和祈念館」に ついて、建設計画の見直しを含めて意見交換するほか八月以降に沖縄の被爆者を招き、交 流を深める。

 放影研の案内パンフレットについて県被爆二世団体連絡協議会(大森俊和会長)などと 記述訂正を求めている問題では、放影研が示した改定案が「過去に被爆者治療をしなかっ た史実などを記しておらず、不十分」と全面改定を求めていくことを決めた。

 また、伊藤理事長が三月から病気入院中のため、坪井直事務局長が当面、理事長代理を 務めることを申し合わせた。


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日米政府に中止要請文

'97/4/19

 県被団協(伊藤サカエ理事長)は十八日、米国が六月にも実施を計画している臨界前核 実験の中止を求める要請文を日米政府に送った。

 要請文は、「臨界前核実験は再び核兵器開発競争をつくり出す火種となる犯罪行為であ り、容認できない」と強く抗議。米国政府には核実験の全面禁止と核実験場の閉鎖を、日 本政府には米国に対して計画の撤回要請をするよう求めている。


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県原水協などの70人 抗議の座り込み

'97/4/18

 米国が六月に計画している臨界前核実験に抗議し、県原水協や県被団協(金子一士理事 長)のメンバーら約七十人が、十七日正午から約四十五分間、広島市中区の平和記念公園 の原爆慰霊碑前で座り込みをした。

 「アメリカは臨界前核実験計画を撤回せよ」などと書いた横断幕の前で、藤田厚吉・県 原水協代表理事が「核兵器廃絶を求めた国連決議や国際世論に対する挑戦。包括的核実験 禁止条約(CTBT)の抜け道を自ら実証するもの」と指摘。「核の威力を強化し、世界 を統治していこうとする米政府の姿勢が表れている。核兵器と人類は共存し得ない」と強 調した。

 座り込みでは、実験の即時撤回を求めるクリントン米大統領への抗議文と、米政府に中 止を求めるよう橋本龍太郎首相に向けた要請書が採択され、同日付で郵送された。


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世界大会にネバダ・タヒチの被曝者招請

'97/4/16

 原水禁国民会議から米国へ派遣され、反核運動に取り組む各国の非政府組織(NGO) メンバーらと交流を深めた広島の被爆者たちが十五日、広島市で帰国の記者会見し、米国 ネバダ州やフランス領タヒチの核実験場周辺に住む被曝(ばく)者を広島に招く計画を明 らかにした。

 計画では、米国政府が六月にも臨界前核実験を行うネバダ核実験場の閉鎖を求める先住 民族と、ニューヨークで交流したタヒチからの被曝者を一人ずつ八月の原水禁世界大会中 に招へい。核実験による自然環境、生活破壊の実態を証言してもらう。派遣団に参加した 坪井直・広島県被団協事務局長は「先住民族が逮捕覚悟で核実験場への道路を封鎖したの を見て、その心情にうたれた」と話していた。

 坂本健・広島県原水禁事務局長を含む一行十二人は、二日から十三日までの間、ネバダ 核実験場を訪ねたほか、ニューヨークの国連本部で始まった核拡散防止条約(NPT)再 検討会議準備委員会へ要請のため集まった各国のNGO代表者らと核兵器廃絶への取り組 みを話し合った。


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広島県原水禁 米に中止要請 

'97/4/16

 広島県原水禁は十五日、米国の臨界前核実験計画に抗議して、クリントン大統領と橋本 龍太郎首相あてに計画の中止を求める要請文を送った。

 米国政府への要請文は、六月にも実施を計画している臨界前核実験は「包括的核実験禁 止条約(CTBT)の発効を危うくし、核軍縮へ向かう国際世論に逆行する」と抗議。世 界最大の核兵器を保有する米国が率先して核実験を全面禁止し、核実験場を閉鎖するよう 求めている。

 日本政府へは、橋本首相が二十四日からの訪米の機会を利用し、被爆国の首相として米 国政府に「実験の中止と計画の撤回要請」をするよう訴えている。


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広島・長崎の証言の会が抗議声明

'97/4/15

 「広島の証言の会」と「長崎の証言の会」は十四日、米国の臨界前核実験計画と米軍用 地特別措置法改正案の衆議院通過に抗議する声明を、首相官邸や米国大使館にファクスで 送った。

 クリントン米国大統領と橋本龍太郎首相あての声明では、臨界前核実験を包括的核実験 禁止条約(CTBT)の空洞化をもたらす新たな核実験と位置付け、米国に計画の即時中 止、日本政府には米国に対する中止申し入れを求めている。

 特措法改正案は「沖縄県収用委員会を事実上無力化し、米軍基地を半永久化する」とし、首相と衆院議長に撤回を迫っている。


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広島市とIPPNW 米大統領に要請文

'97/4/11

 米国が六月に計画している臨界前核実験に抗議し、広島市と核戦争防止国際医師会議( IPPNW)日本支部は十日、実験中止を求める要請文をクリントン米大統領らに郵送し た。

 市の要請文は、「臨界前核実験は国際社会の不信をかき立て、核拡散の危険を高める」 と指摘。昨年七月の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を引用しながら「核兵器のな い世界の実現が国際社会の願い。即時、実験を中止すべきだ」と求めている。

 IPPNW日本支部は、支部長の福原照明県医師会長名で、ラスト・デミング在日米臨 時代理大使に速達で送付。「国際世論は軍縮に向かっている。核軍縮を唱える一方で、臨 界前核実験をすることは、ごう慢とエゴであり、新たな軍拡戦争の引き金になる」と実験 中止を要請した。


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県被団協や山口地区労 40人が座り込み

'97/4/10

 連帯する山口地区労働組合会議(山根良夫委員長)や県被団協(中谷亘会長)など四団 体は九日、米国が六月に予定しているネバダ州での臨界前核実験などに抗議して、山口市 の山口市民会館前で座り込みをした。

 労働組合の関係者や被爆者団体のメンバーら約四十人が参加した。核実験反対の看板を 前に、山根委員長は「包括的核実験禁止条約(CTBT)を空洞化させるもの。CTBT を有効に機能させるためにも米国に対し強く抗議するとともに決して許してはいけない」 と述べた。

 また、米軍用地特別措置法の改正に対しても「改正による土地使用は憲法に違反する行 為。沖縄県民の気持ちを考え反対の声を広げよう」と訴えた。


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「臨界前」抗議の座り込み

'97/4/10

 米国がプルトニウムを使った臨界前核実験を計画していることに対し、長崎県平和労働 センターなどは九日昼すぎから、長崎市松山町の平和祈念像前で約三十分間、抗議の座り 込みをした。

 座り込み自体は一九七九年からほぼ毎月、原爆が落とされた九日に続けられており、こ の日で二百一回目だが、今回は米国の実験への抗議が最大の目的。参加した労組員ら約九 十人は「あらゆる核実験の禁止を」などと書かれた横断幕を手に「核実験がなくなるまで 運動を強化していこう」と声を上げた。


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米は臨界前核実験の中止を(社説)

'97/4/6

 米政府はネバダ州の核実験場でプルトニウムを使う初の臨界前核実験を六月に実施する と発表した。核爆発直前に実験を中止するため、包括的核実験禁止条約(CTBT)の対 象外と説明するが、強弁にすぎない。即時、実験の中止を求めたい。

 米国の模擬核実験の中核となる臨界前核実験は当初、昨年九月に行う予定でいた。だが 、インド、パキスタン両国などが「CTBTを空洞化する」と反発。米政府も大詰めを迎 えていたCTBT交渉への影響などを考えて延期した。そして、昨年秋のクリントン大統 領再選後、あらためて実験時期を探っていたものだ。

 世界の核軍縮の流れは東西冷戦の終結を受けて一昨年の核拡散防止条約(NPT)の無 期限延長に続く、昨年のCTBTの国連総会での採択で、核保有国の新たな出現に一応の 歯止めをかけた。それなりの進展と言ってよかろう。

 そんな中での米国の臨界前核実験の開始宣言は、あくまで核兵器に固執する核超大国の エゴであり、核廃絶を求める国際世論に背を向ける行為である。

 今回、米国が計画しているのは核分裂物質を使った実験で、普通の核実験との違いは専 門家の見解によると、非常に低出力という点だけであるという。つまり、実質的には核爆 発と変わりない。  実験の目的については、米政府は核兵器の安全性維持のため、と言っている。確かに、 安全性のテストであろうが、同時に、この実験は核の小型化・軽量化にも役立つ。さらに

、新しい核兵器の開発にも生かせるらしい。

 他の核保有四カ国は昨年、駆け込み核実験を行った中国を含め、そろって米国同様に模 擬核実験開始の足がかりをつかんでいるもようだ。したがって、これから、核大国による 模擬核実験競争という新局面の展開となるかもしれない。これでは現実に、世界の核保有 量が減らない恐れがあろう。

 おまけに、米国の実験は核の保有に意欲を燃やす国々に核開発の口実を与えかねない。 そのため、CTBT発効の妨げにもなる公算が大きい。

 ここへきて、世界の核の状況はまず、CTBTの発効にいまだにめどが立っていない。 次に、一九九三年に米ロ両国が調印した第二次戦略兵器削減条約(START2)の批准 もロシア議会の反対などで実現していない。楽観を許さない状況にあるわけだ。  にもかかわらず、米国が強行しようとしている実験は、やらなくても米の核戦力の優位 が崩れるはずはない。また、核兵器の安全性は実験を急がなければならないほどぜい弱と も思えない。実験に走るのは核抑止論という神話に頼っているからであろう。

 しかし、核抑止論は冷戦終結とともに形がい化している。現に、米核戦略を統括し、最 前線で指揮をしていた退役将軍が、その事実に気付き、最近、核廃絶を訴えて米国内で波 紋を広げているというではないか。

 いずれにせよ、米国の臨界前核実験は愚かな行為である。ヒロシマ、ナガサキを先頭に 反核の国際世論で中止に追い込もう。同時に、模擬核実験も含めた例外のない核実験禁止 や核物質生産禁止の両条約の実現に向けて国連を中心に世界の英知を結集したい。


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「軍縮の世論に逆行」怒り広がるヒロシマ

'97/4/6

 米国が臨界前核実験の実施を発表した五日、広島の被爆者や平和団体は、一斉に怒りの 声を上げ、核兵器廃絶へ向けた取り組みの強化を表明した。

 広島県被団協(伊藤サカエ理事長)の坪井直事務局長は、核兵器廃絶を訴えるため原水 禁国民会議の一員として訪米中。ネバダ核実験場前で実験場廃止を求める非政府組織(N GO)の行動に参加した直後だけに「軍縮を主張する一方で実験に固執する米国が信じら れない。新たな核兵器開発につながり、もってのほかだ」と反発。八日にニューヨークで 黒河内久美国連軍縮大使に会い、日本政府としての抗議を促す。

 もう一つの広島県被団協(金子一士理事長)は、週明けにも抗議電報や座り込みなどの 行動を決める。末宗明登事務局長は「核兵器全面禁止条約の交渉を求めた昨年末の国連決 議など、核兵器廃絶を求める国際世論に逆行しており、米国は国際的に批判を受けるだろ う。われわれも反核運動を強めなくてはならない」と怒りを示す。

 昨年九月に採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効へ向け、影響を懸念す る声も目立った。広島県原水禁の宮崎安男代表委員は「条約を批准していないインドなど の反発が強まり、発効がさらに遅れる恐れがある。冷戦時代のような核開発競争への逆戻 りにつながりかねない」と指摘する。

 広島県原水協の藤田厚吉代表理事は「抜け穴があるCTBTの限界と、米国が核兵器の 保有や開発をやめる気がないことが、これではっきりした。核実験場がある限り再開の可 能性が残る」と、核兵器全面禁止条約の必要性を強調した。

 ▽長崎市長ら抗議文

 米政府がプルトニウムを使う臨界前核実験を六月から実施すると発表したことに対し、 伊藤一長・長崎市長は五日、「被爆都市長崎市民の実験中止の要請を無視して、強行しよ うとしていることに強い憤りを覚える」とのコメントを発表。中野吉邦市議会議長と連名 で、実験中止を求める抗議文をデミング駐日臨時大使に電子メールで送った。

 コメントで伊藤市長は、包括的核実験禁止条約(CTBT)が臨界前核実験を禁止対象 から除外していることに強い懸念を表明。抗議文では「核抑止論に固執する限り、真に恒 久的な平和への接点を求めることはできない」としてあらゆる核実験の禁止を米国に求め ている。


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米 6月から臨界前核実験

'97/4/6

 【ワシントン4日共同】米政府は四日、核兵器の安全性を維持するため、ネバダ州の核 実験場でプルトニウムを使う臨界前核実験の一回目を六月に実施すると発表した。(夕刊 一部既報)

 米国の模擬核実験の中核をなす臨界前核実験については、インドなどが「従来の核実験 と区別しにくい」と批判していたほか、日本の平岡敬・広島市長、伊藤一長・長崎市長や 反核団体が強く中止を求めていた。米政府は来年末までに計六回実施する計画。

 模擬核実験を担当するエネルギー省によると、一回目の臨界前核実験は六月、二回目は 十月前後に実施。さらに来年中に四回実施する。

 臨界前核実験はプルトニウムやウランが連鎖反応で次々と核分裂を起こす「臨界」に達 する直前に実験を停止し、停止までの間に核物質のさまざまな反応や動きを調べる核爆発 の模擬実験の一つ。

 ネバダ核実験場の地下約三百メートルに実験装置を搬入。数百キロの高性能火薬を爆発 させて生じた衝撃波をプルトニウムに当て、核分裂の連鎖反応で膨大なエネルギーが出る 直前に実験を終了する。プルトニウムの劣化状態が分かるという。

 早ければこの春にも実験が強行されるとみられていた米政府の動きに対し、広島、長崎 の両市長は実験中止を求める書簡を大統領らに郵送していた。  ▽廃絶に水 強く抗議 平岡敬広島市長の話

 国際社会の不信をかきたて、核拡散の危険を高めるとともに、核兵器廃絶への努力に水 をさすものであり、強く抗議する。米国は、昨年の国際司法裁判所の勧告的意見や核兵器 禁止条約の交渉を求める国連総会決議など、核兵器のない世界の実現が国際社会の願いと なっていることを理解し、実験を中止すべきだ。核兵器廃絶の道筋を示し、核軍縮に積極 的に取り組んでもらいたい。


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ネバダ施設使い6月に実施 米が発表

'97/4/5

 【ワシントン4日共同】米政府は四日、核兵器の安全性を維持するため、ネバダ州の核 実験場でプルトニウムを使う臨界前核実験の一回目を六月に実施すると発表した。

 米国の模擬核実験の中核をなす臨界前核実験については、インドなどが「従来の核実験 と区別しにくい」と批判していたほか、日本の平岡敬広島市長や反核団体が強く中止を求 めていた。米政府は来年末までに計六回実施する計画で、実験の強行に米国内外の批判が 集中しそうだ。

 同実験は、ネバダ核実験場の地下に実験装置を搬入。高性能火薬を爆発させて生じた衝 撃波をプルトニウムに当て、核分裂の連鎖反応で膨大なエネルギーが出る直前に実験を終 了する。プルトニウムの劣化状態が分かるという。

 実験は当初、昨年六月に一回目が行われる予定だったが、インドやパキスタンが「包括 的核実験禁止条約(CTBT)を空洞化する」と反発。米政府は大詰めを控えていたCT BT交渉への影響を考慮して延期し、クリントン大統領再選後、あらためて実施時期を探 っていた。早ければこの春にも強行される、とみられていた米政府の動きに対し、平岡広 島市長は二月に、実験中止を求める書簡を大統領に郵送していた。

▽阻止へ全力挙げる

 広島被爆者団体連絡会議の近藤幸四郎事務局長の話

 核爆発を伴わなくても核実験には違いない。国際世論に背を向け、被爆者の心を踏みに じる暴挙だ。政府に米への抗議を促すなど、阻止に向け全力を挙げて行動を起こしたい。


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