【世界のヒバクシャたち】


 広島、長崎の経験は、放射能被害の恐ろしさを世界に教えたはずでした。しかし絶無であるどころか、むしろそれ以後の方が数多く、大規模に起きているのです。

 核保有国が繰り返した核実験はその典型です。米国のネバダ砂漠で、マーシャル諸島で、ポリネシア、オーストラリア、ニュージーランドの海で、旧ソ連のノバヤゼムリヤやセミパラチンスクで、中国のロプノルで…。実験に参加した兵士、周辺の人々が広島、長崎の被爆者と似た障害に悩んでいます。

 旧ソ連で1986年に起きたチェルノブイリ原発事故はまだ被害の発生途上にあります。東南アジアでは日系企業のずさんな核物質管理が問題になりました。軍用、商用、医療用などの原子力・核物質による放射線の被害をなくすことも残されている大きな問題です。

 中国新聞は1989年から1990年にかけ、広島、長崎以後の放射能被害を調べるため、世界に記者を送り実態をリポートしました。次の図はその総括表です。この報告以降にも、深刻な被害が生まれ、当時はまだ隠されていた米国の放射線人体実験の実態も明らかになっています。

●核被害者の交流

 ヒロシマはこれまで、世界の多くの核被害者と手をつないで、核実験をやめること、放射線被害に遭った人々の救済、厳重な核管理を訴えてきました。核実験場になった南太平洋の人々、カザフ共和国のセミパラチンスクの住民、チェルノブイリ原発周辺で被害を受けた子供たちなど、核被害をなくそうとする人の輪は、確実に広がってきています。