21世紀へ崩れぬ平和を  広島市で8・6平和祈念式

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 5万人が参列 印パ両国大使も

 広島市は六日、被爆五十三周年の原爆の日を迎え、早朝から「核兵器を廃絶し、21世紀へ崩れぬ平和を築こう」という大勢の人々の祈りと誓いに包まれている。

 中区の平和記念公園では午前八時から、広島市主催の原爆死没者慰霊式・平和祈念式が行われた。被爆者と遺族、全国、世界の各国から訪れた人など約五万人(広島市発表)の参列者が原爆犠牲者のめい福を祈り、核兵器廃絶と世界平和への努力を誓い合った。五月に相次いで核実験をしたインド、パキスタン両国の駐日大使も参列した。

 式典ではまず、平岡敬市長と二人の遺族代表が原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に奉納した。この一年間で亡くなったり、死亡が判明した被爆者は四千九百二十七人。名簿への搭載者総数は二十万七千四十五人、名簿は二冊増えて七十一冊となった。

 四十一都道府県から参列した遺族代表らに続いて、小渕恵三首相、渡部恒三衆院副議長、菅野久光参院副議長、宮下創平厚相、藤田雄山広島県知事らが原爆慰霊碑に献花した。

 原爆が投下された八時十五分、遺族代表の平岡可英さん(30)と子ども代表の大芝小六年野間えり子さん(11)が「平和の鐘」を打ち鳴らす。それに合わせ、参列者全員が黙とうし、原爆死没者のめい福を祈った。

 続いて、平岡市長が「平和宣言」を読み上げた。 インドのシッダールタ・シン、パキスタンのトキール・フセイン両駐日大使を前に、「南西アジアの緊張は極度に高まり、核拡散防止体制は根底から揺らいだ」と両国による核実験の応酬を批判した。さらに核保有五カ国の核軍縮が遅々として進んでいない現実を指摘し、「核保有国の指導者は、国益のみならず、人類の未来に思いを馳せて、一刻も早く国際社会に対する責任を果たさなければならない」と述べた。そのうえで世界各国に対し、核兵器使用禁止条約の締結交渉を始めるよう求めた。

 この後、広島市内の男女の小学生二人が「平和への誓い」を読み、被爆体験の継承や世界の子どもたちとの連携を通じて平和をつくり出す努力を誓った。

 また、平和祈念式で小渕首相は、国として今月三十日に国際軍縮フォーラム「核不拡散・核軍縮に関する緊急行動会議」を発足させることを紹介。「核兵器国の核軍縮を一層進展させることが被爆国であるわが国に与えられた使命であると考えます」と述べた。


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