介護保険で被爆者に配慮 小渕首相が表明

'99/8/6

 小渕恵三首相は六日午前、広島市の平和記念式典に参列後、中区 内のホテルで記者会見した。介護保険制度導入で新たに生じる被爆 者の負担について、「現在の援護措置より不利にならないよう配慮 する」と述べ、政府として被爆者の要望に沿う形で対応する考えを 正式に表明した。

 来年四月から始まる介護保険では、訪問看護などの医療費は一割 が自己負担となる。被爆者援護法で現在、全額公費負担となってい る被爆者には、制度導入に伴う新たな負担発生への不安が強い。そ の点について首相は「広島、長崎両市などの要望を受け、今の援護 措置よりも特に不利な取り扱いにならないよう配慮したい」と明言 した。

 首相は、「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」が七月末 にまとめた報告書について、「核軍縮の道筋を示す有意義な文書」 とあらためて評価。「核兵器保有国の指導者らの目に広く触れるよ う努め、国連の正式文書として加盟国に配布されるよう要望してい く」との活用策を示した。

 一方、被爆者援護法の適用対象外となっている韓国など海外在住 被爆者の支援に関しては、「訪日時の検査や治療の際、医療費を給 付するなどして支援を続けたい」と従来の方針を繰り返した。

【写真説明】記者会見で被爆者への援護策などについて語る小渕首相(6日午前10時20分)


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