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みんなの平和教室

 瀬谷ルミ子(日本紛争予防センター事務局長)
 

力の誇示・自国防衛・外交切り札…所有の意味さまざま

8月6日が近づいてきました。そのため、今回は広島と世界の関係を考える意味でも、核兵器に焦点を当てて世界の戦争・紛争について考えてみたいと思います。

 
瀬谷ルミ子 せや・るみこ

1977年、群馬県生まれ。中央大卒、英ブラッドフォード大学院修了(紛争解決学)。紛争後に兵士から武器を回収し社会復帰させることや平和構築が専門。NGO職員(ルワンダ)、国連ボランティア(シエラレオネ)、日本大使館書記官(アフガニスタン)、国連職員(コートジボワール)などとして紛争地での支援活動に携わってきた。2007年4月から日本紛争予防センター事務局長。

日本紛争予防センター http://www.jccp.gr.jp/
瀬谷さんのブログ「紛争地のアンテナ」
   http://ameblo.jp/seyarumi


私は大学生のときに、世界の紛争を知るためにルワンダに行き、同時に広島と沖縄を訪れ、日本の戦争についても考えました。それぞれ全く違う出来事ですが、いくつかの共通点があるとも思いました。


■     ■


核兵器は、一度に多くの人々に被害を与える武器として、化学兵器、生物兵器と併せて大量破壊兵器とも呼ばれています。第二次世界大戦中に開発された核兵器は実際の戦争では唯一日本で使われました。2発の核兵器投下により数十万人が亡くなった広島や長崎の体験については、皆さんも知る機会が多いでしょう。

米国により原爆が使用された背景には、降伏を認めなかった日本との戦争を早く終わらせることで、それ以上被害を増やさないためだったと言う人もいます。映画にもなった硫黄島での戦いや沖縄での戦闘で、当時の日本軍の反撃による被害が予想外に大きかったからというものです。

また、強い国であることを示して大戦後の世界で指導者としての地位を米国が持つためなど、それ以外にもいくつかの理由を挙げる人もいます。

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被爆し、焼け野原になった広島。爆心地から東へ250メートルの紙屋町交差点付近(1945年8月9日 川原四儀氏撮影)

2つの大国、米国とソ連は直接武力を使った戦争はしないけれど、対立をしていた冷戦と呼ばれる時期に、大量の核兵器を製造・所有することで、自国の力を示しあう核競争を行うことになりました。

その後、世界各国が核開発を進め、現在では、米国、英国、フランス、ロシア、中国(この5カ国は国連安全保障理事会常任理事国)のほか、インド、パキスタンが核兵器を保有しています。また北朝鮮なども核兵器を持っているといわれています。


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核兵器は、その被害の大きさが広島・長崎で示されたこと、一度使うと世界各国からの非難が避けられないこともあり、「使用できない・されない武器」とも言われます。しかも開発するためには多くのお金が必要です。では、なぜこれらの国々はそれでも核兵器を必要とするのでしょうか。

一番の理由は、核兵器を持つことで、他国が自分の国を攻めてきたら反撃できることを示し、自国を守るためです。隣国同士で長年争っているインドとパキスタンは、お互い核兵器を持つことで、大規模な戦争を仕掛けないように抑止しあっていることになります。北朝鮮は、日本やその同盟国であるアメリカに対し、核兵器を持つ国であることを、外交や交渉を有利に進める切り札に使うなどしています。

一方、米国や英国、ロシアなどの大国は、核兵器がなくても自分たちの国々を守り、相手に反撃・攻撃できる十分な軍事力を持っています。しかしこれらの国々は、核兵器を持つ他の国々に対し、自分の関係する周辺国の利権や世界の安全を取り締まる必要があるという理由で、核兵器を所有しています。核兵器は、安定化や安全を確保するために必要だという意見があるのです。

広島・長崎の経験と一緒に、これらの世界の現状を踏まえたうえで、今回の課題を考えてみてください。

 


今回の課題

 世界から核兵器をすべてなくすことと、国連や選ばれた核保有国が核の不正な使用を監視しながら管理することと、どちらを選びますか。それを実現するうえで問題になることはなんですか。

※締め切りは7月3日(必着)です。
 
 
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