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8・6を伝える

佐々木祐滋さん「INORI」

cd
別れがくると知っていたけど
本当の気持ち言えなかった
色とりどりの折り鶴たちに
こっそり話しかけてました
愛する人たちのやさしさ
見るものすべて愛しかった
もう少しだけでいいから
皆のそばにいさせて下さい
泣いて泣いて泣き疲れて
怖くて怖くて震えてた
祈り祈り祈り続けて
生きたいと思う毎日でした
(中略)
別れがきたと感じます
だから最後に伝えたい
本当に本当にありがとう
私はずっと幸せでした
めぐりめぐり行く季節をこえて
今でも今でも祈っている
二度と二度とつらい思いは
誰にもしてほしくはない
誰にもしてほしくはない
(GOD BREATH作詞、JASRAC出1009272―001)

作品に禎子の思い込めた/隣の人の命も大切にして



佐々木祐滋さん

ささき・ゆうじ

1970年、福岡市生まれ。中学時代にバンド活動を始め、ボーカルを担当した。福岡外語専門学校卒業後、東京で就職。2000年に幼なじみとロックバンド「GOD BREATH」を結成。09年からソロ活動をし、父の雅弘さんとNPO法人「SADAKO LEGACY」を設立。国内外で平和を訴える活動をしている。

被爆して10年後に突然白血病を発症し、鶴を千羽折れば治ると病床で折り続けながら12歳でこの世を去った佐々木禎子さん。平和記念公園(広島市中区)にある「原爆の子の像」のモデルです。禎子さんのおい、佐々木祐滋さん(40)は「死と向き合っていたのに、家族の前では常に笑顔でいた禎子。その禎子になって考えたんです」と作品に込めた思いを語ります。

子どものころ、禎子さんの兄にあたる父の雅弘さん(69)に連れられて毎年8月6日の平和記念式典に出ました。原爆の子の像も訪れました。しかし、「自分には関係ないと感じていた」と振り返ります。

転機は10年ほど前。雅弘さんが講演で上京し、東京でバンド活動していた祐滋さんが運転手として同行しました。会場の控室で、高校の生徒や先生たちに「あなたの体の中には禎子さんのDNAが入っている。音楽をやっているのなら禎子さんの歌を歌わないといけないんじゃないですか」と言われました。「頭をガツンと殴られたような気がしました」。叔母の存在が一気に近く感じられるようになり、曲作りを始めました。

禎子さんのことは子どものころから、雅弘さんや祖父の故繁夫さんに聞いていました。特に印象に残っているのは、家族は禎子さんに病名を伏せていましたが、禎子さんの死後、ベッドの下から白血球や赤血球の検査数値を正確に書き写した禎子さんのメモが出てきたことです。「白血病と分かっていたのに泣き言一つ口にしなかった。でも絶対我慢できるはずない。誰かにすがりたかったはず」と、歌詞に「泣いて泣いて泣き疲れて」と繰り返すフレーズを入れました。

メロディーは当初、モンゴルで禎子さんをテーマに作られた愛唱歌を使っていました。ソロ活動を始めるにあたって、昨年新たに作曲。希望が感じられるメロディーにしています。

小中学校を中心に講演もしています。10年間で300校以上回りました。ギターを片手に、禎子さんの被爆状況や入院中の様子を話し「生きることが当たり前じゃなかった。みんなも命があることに感謝し、隣の人の命も大切にしてほしい」と訴えています。禎子さんが折った小さな鶴を見せることもあります。

これを除いて手元に禎子さんの鶴が3羽あります。5羽あったのですが、うち2羽はニューヨークの米中枢同時テロの追悼施設、ウィーンの平和博物館に寄贈しました。残る3羽は、ブラジルとアフリカ、そしてハワイに贈りたいそうです。「被害者も加害者も傷ついている。禎子の鶴を置くことで、心の終戦ができれば」と願っています。(二井理江)


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祐滋さんの歌声が力強く、歌詞にはメッセージ性があります。病室で鶴を折る禎子さんが目の前に浮かび、心の中に入り込んでくるようでした。

今まで、禎子さんのことは平和学習で知っていました。この曲からは禎子さんの平和を願う強い思いや死の覚悟が迫ってきます。初めて聞いて衝撃を受けました。学習だけでは感じられないものが伝わってきます。

いろんな人たちにこの曲を伝えたいです。広島の子どもたちでこの曲を合唱したらどうでしょう。禎子さんに届くように、原爆の子の像の前で歌います。平和へのメッセージになると思います。


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