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8・6を伝える

高田敏江さん 「夏の雲は忘れない」

cd 「お母さん、文子はもうすぐ死にます。わたしのお墓の周りには、いっぱいお花を植えてください」「おもいっきり水を飲みたい」―。広島、長崎の原爆で子どもを失った親や、家族を失った子ども、学校の先生たちが書いた手記を朗読する。峠三吉さんの詩「ちいさい子」、栗原貞子さんの詩「生ましめんかな」も読む。上演は1時間15分。2010年に谷本清平和賞を受賞した。現在のメンバーは16人。

同じ思いをさせたくない/被爆者の「声」語ってゆく



高田敏江さん

たかだ・としえ

1935年、前橋市生まれ。54年に劇団民芸に入り、71年にフリーになった。テレビ番組「チャコちゃんシリーズ」の母親役として知られ、「私は貝になりたい」「3年B組金八先生」などにも出演。映画、舞台でも幅広く活躍している。東京都世田谷区在住。

被爆手記の朗読劇「夏の雲は忘れない」を全国で上演しているのが、東京の女優グループ「夏の会」。学校での公演に力を入れ、子どもたちと一緒に舞台に立ちます。高田敏江さん(76)は「戦争を知らない若い人たちに被爆者の『声』を聞いてもらい、自分の問題としてとらえてほしい」と訴えかけます。(増田咲子)

「夏の会」は、1985年から「この子たちの夏」を上演してきた劇団「地人会」が解散したのを受け、出演していた女優18人が集まり、2008年に再スタートを切りました。

活動の再出発を呼び掛けたのは、85年から出演し続けている高田さんでした。「戦争体験者が減る中、むしろ伝えなければならないのはこれから。何としても語っていきたい」。メンバーは思いを結束させました。

公演では、原爆で家族を奪われた怒りや悲しみ、絶望を乗り越えて生き抜こうとする子どもたちの思い、親子の絆など、被爆者たちがつづった手記を朗読します。

高田さんの古里、前橋市は45年8月5日、空襲の被害を受けました。当時10歳だった高田さんの自宅は全焼。家族と避難した山の中腹からは町が炎に包まれるのを見ました。何もかもが焼き尽くされた臭いも、遺体が運ばれたのも鮮明に記憶しています。自らの体験を重ね「日本だけでなく、世界中の子どもたちに同じような思いをさせたくない」と言葉を強めます。

80年代に公演で広島を訪れた際は、被爆者から「現実はこんなものではない」と言われました。しかし、最近では「体が弱って、語るのが大変になった。あなたたちに語っていってほしい」と励まされました。高田さんは「やっと認められて、うれしい」と感じたそうです。

「夏の会」の上演はこれまでに87回を数えます。「私たちは演じるのではなく、手記を書いた人の代読者。気持ちに沿って伝えたい」と強調します。公演は子どもたちもステージで手記を読みます。「声に出して読むと追体験ができる。聞く側も自分の友達が読むと、手記の内容を身近なこととして受け取る」と言います。

高田さんは中高生にこう呼び掛けました。「戦争中、日本で何があったのかを学び、今も世界で続く紛争に目を向けてほしい。平和は自然と続くものではなく、自分たちでつくっていくものです」


私がイチオシ☆ 中3・有吉華子

子どもから大人まで、いろいろな人の視点で原爆が語られています。心のこもった朗読で、その当時の心情が痛いほど伝わってきました。

一瞬で世界を壊してしまう核兵器がこの世にあるのは恐ろしいと感じました。私たちがつくる未来の世界では、絶対に広島、長崎で起きたような惨劇を繰り返してはいけないと、固く誓いました。

子どもたちは、原爆で家族を失っても必死で生き抜いてきました。私もどんなことがあってもくじけず、弱音を吐かない人になりたいです。


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