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ヒロシマを学ぼう

原爆小頭症  胎内被爆 知能・身体に障害


米国が広島、長崎に落とした原爆で、母親のおなかの中で被爆した人たちがいます。生まれながらに障害がある「原爆小頭症患者」です。原爆小頭症は、妊娠初期の胎児が大量の放射線を浴びることで引き起こされます。頭囲が小さく、知能や身体に障害を伴って生まれる場合があります。患者は「最も若い被爆者」と言われています。厚生労働省によると、原爆小頭症患者は3月末時点で全国に22人います。

5月に広島市南区で開かれた「きのこ会」の総会。患者や家族、支援者が出席した

患者の存在が広く知られるようになったのは、被爆から20年もたってからです。患者の家族は当初、障害の原因についてABCC(現在の放射線影響研究所)から「原爆のせいではなく、妊娠中の栄養失調によるものだ」と説明を受けていたそうです。

作家やジャーナリストでつくる「広島研究の会」が「この世界の片隅で」(岩波新書)を1965年に出版。放置されていた患者の存在を世に問いました。これがきっかけで、患者や家族でつくる「きのこ会」が発足しました。会の訴えもあって国は67年、小頭症は原爆によるものだと認めました。

患者は、生まれながらに核の被害にさらされて生きてきました。偏見や差別を恐れ、地域社会とのつながりが薄い面がある中、本人の老いや、支えてきた肉親の死という問題に直面しています。国による支援態勢の強化が求められています。



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