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 川崎 哲(上)  ピースボート 世界つなぐ


ヒバクシャ地球一周船旅の途上、トルコのディキリ市でオスマン市長と意見交換する筆者(中央左)

かわさき・あきら

1968年、東京生まれ。3人きょうだいの末っ子。高校時代は水球部。大学時代、中国や中東・コーカサス地方を個人旅行。91年、湾岸戦争に反対する学生グループを立ち上げる。98年、NPO法人ピースデポのスタッフに。2000〜02年、ピースデポ事務局長。03年、ピースボート共同代表。川崎市在住。妻と7歳の長男。

私は今、ピースボートという非政府組織(NGO)で活動しています。ピースボートは船で世界を回り、訪ねた土地の人々やNGOと交流し、平和、環境や人権について学ぶのが中心的な活動です。年に3回、地球一周の船を出しており、1回あたり500人以上が参加します。

地球一周には約100日間、つまり3カ月半かかります。私も船に乗って、「地球大学」という洋上教育プログラムを担当することがあります。また昨年は、103人の広島・長崎の被爆者の方々と一緒に船で地球を一周し、各地で証言していただきました。


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飛行機で港に先回りし、現地の行事を準備することもあります。今年7月には中米のコスタリカで、船の寄港に合わせ「平和憲法・国際会議」を開きました。日本は憲法で戦争を放棄しましたが、コスタリカもまた平和憲法をもち、軍隊を捨てた国として知られています。両国の平和憲法を比較し、これらを広く世界に生かす方法について各国の専門家と話し合いました。

こうした国際会議をやるときは、現地のパートナーと話し合ってテーマを決め、ゲストを招待し、文書を作成するなどさまざまな準備が必要です。バスやレストランの予約、トイレの数の確認まで自分たちでやらなければなりません。言葉や文化の違いがあるため互いの誤解も生まれやすく、スムーズには行きません。ハプニングは常につきものです。最後までやりきったときはいつも新鮮な感激を覚えます。

船から離れ、世界の市民の声を政府や国連に届ける仕事にも力を入れています。ピースボートは国連との協議資格をもっているので、それを生かして国連の会議に積極的に参加しています。平和や人権に関する提言書をまとめ、国連で発表したり、各国の大使に直接話したりしています。

取り扱うテーマは山ほどありますが、なかでも私自身が一番力を入れているのは核問題です。私はピースボートの仕事をする前にピースデポというNGOで核軍縮に関する専門的な研究活動をしていました。


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こういう仕事をしていると、よく言われます。「立派なお仕事ですね」「英語がお上手なんでしょう」「仕事で海外旅行できてよいですね」「何でそんなことをしているんですか」「でも生活できるんですか」

仕事で世界を回れるのは、確かにありがたい境遇だと思っています。英語は我流です。活動を通じて体で覚えました。大学生のとき、アジアの平和団体の学生らを数十人招いて討論会を開いたのが初めての国際活動でした。英語もろくにできず交流と称して居酒屋に行きましたが、慣れないお酒でひどく酔っぱらい、招待した香港の学生に介抱されました。迷惑を掛け、謝ったりお礼を言ったりするうちに、だんだんと我流の英語を身につけていきました。

平和問題に関心をもつきっかけは、大学の先生をしていた父が原水爆禁止運動に熱心にかかわっていたことでした。そういう話を子どものころからよく耳にしていました。

1980年代、国連軍縮特別総会が開かれ世界的に反核運動が盛り上がったのが中学生のときでした。そのころ父に広島に連れて行ってもらい、何万という人が集まる熱気を感じました。

そういう父の影響はありました。でも高校時代は、部活や文化祭を熱心にやりました。平和問題に直接タッチすることはありませんでした。

 
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