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 長田 寿和子(下)  自然と生きる暮らしへ


ホストファミリーの女の子ジョイ(3)と一緒に

ながた・すわこ

1951年長崎県生まれ。長崎大教育学部を卒業後、神戸市立の中学校で英語教師として35年間勤務した。教員生活の傍ら、国際教育のNPO法人グローバルプロジェクト推進機構(JEARN)に所属。2003年に開かれた同機構の親団体「国際教育ネットワーク」(iEARN)の会議を機に、10年3月「ねがい国際教育センター(AMANI Internet Centre)」をケニアのカイモシに設立し、教師を退職。同年9月から現地で子どもに日本語を教えている。

この夏、東日本大震災後の電力事情も加わり、節電が叫ばれています。化石燃料の枯渇問題もあり、自然エネルギーの開発、採用が重要視されています。

私は教師時代からエネルギー問題を授業で扱い、ESD(持続可能な開発のための教育)を自分なりに進めてきました。そして自分自身の生活を見直すにはどうすればよいか考えてきました。

日本社会では、便利な生活を求めて機械化が進んできました。温水洗浄便座などその最たるものでしょう。ここまで電気や水が必要でしょうか。


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ケニアに来て、朝夕の自然の風のすがすがしさを実感しています。昼間は強い直射日光を利用した「ソーラークッカー」でお湯を沸かしたり、調理したり、黒いたらいに水を入れて太陽光で温め、行水もしています。停電が起きても、ランプの明かりで夕食を食べるなどスローな生活を楽しんでいます。

畑にはケニアの主食であるトウモロコシから、スープに欠かせないトマト、キュウリ、日本の大根など多彩な野菜を栽培しています。食料はほとんど自給で、取れたての野菜を使った料理は何よりのごちそうです。

とはいえ、紅茶の栽培に使われてきた化学肥料と、外来種であるユーカリの木の影響で、農地は酸性に傾いています。紅茶は酸性でも育つのですが、野菜はなかなか難しい状態です。対策として堆肥を作っています。乳牛のふんと雑草、バナナの茎を層にして、数カ月置くと素晴らしい堆肥ができるのです。台所の生ごみでも肥料を作れます。

私が校長を務める「ねがい国際教育センター」では、堆肥作りを現地の農民に教えるワークショップを数回開きました。早速実行した若い男性農家は、たくさんのトマトを収穫。またケールの葉を栽培して高校の給食用に卸す事業を始めました。

堆肥を使った畑では、大根が最もよく育ちます。大根はケニアではあまりなじみがありませんが、商売のためケニアで暮らすインド人向けに販売するルートも、私たちと彼とで開発しつつあります。

一つ一つの作業は大変ですが、農民の収穫をあげ、生活向上の手伝いは「ねがい」の3番の歌詞を実践しているようで、やりがいがあります。


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センターは現在、どこの組織からもサポートは受けていません。自分たちができる範囲の援助でノウハウを分かち合い、一緒に汗を流しています。それだけでもケニアの人たちはやる気を出して、自分たちの夢を広げています。むしろ多額なお金をあげると、ケニア人はお金に頼ってしまい、次々とねだる結果になりかねません。

人間が便利さ、快適さを追求した結果、地球は今、温暖化や廃棄物があふれて限界状態です。後世にきれいな地球を残すため、私たちは全力で取り組まなければなりません。その一つとして、「自然に返る」「ライフスタイルを見直す」という策があると思います。

ケニアは日本に比べれば不便ですが、仲間と自然に囲まれて、地球に優しい暮らしができます。同時にケニアの人たちの生活向上も可能なのです。目を世界へ、しかし実践の方法はシンプルです。Think Globally and Act Locally. これが持続的な発展の一つの道でしょう。

 
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