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カープとサンフレから大使誕生
 〜ヒーローも平和を願ってる〜

広島を本拠地にしたスポーツのプロチームが2つあります。野球の「広島東洋カープ」と、サッカーの「サンフレッチェ広島」です。

5号は、「広島」を背負って国内外で活躍する選手に着目し、ひろしま国の大使として、平和発信に一役かってもらうことを考えました。広島市出身の3選手に「就任」をお願いし、快く引き受けてもらえました。

カープの新井貴浩選手(30)と、サンフレの双子の兄弟、森崎和幸(25)・浩司(25)両選手です。

サンフレッチェ広島の森崎和幸選手(右)と浩司選手 広島カープの新井貴浩選手

3人の大使を通じて、平和の意識を持って活躍するスポーツ選手の輪が広島から広がっていくことを願っています。そして観戦する世界の人々に、その熱い思いが伝わっていくことを期待しています。


 おばあさんは被爆者。ヒロシマを受け継いだ

平和への思いをスポーツで表現する―。そんな意気込みを見せるひろしま国大使の3人は、いずれもおばあさんが被爆を経験しています。

そんな彼らに、スパイクや帽子など試合で身につけるものに「平和」という文字を書いてもらいました。平和発信を常に意識して活躍してもらうよう、お願いしたのです。また、平和について一言、色紙に書いてもらいました。

私たちのインタビューを通じて、3人が優れたスポーツ選手であると同時に、大使としての資格を十分持った人たちだと感じてもらえると思います。
(高2・田辺春奈)

 
原爆資料館 何回行っても悲しくなる −カープ・新井貴浩選手
「野球を通じて人々を勇気づけたい」と話す新井選手=右端(撮影・中2川本千夏)

新井貴浩選手は、広島市民球場でのオープン戦終了後、インタビューに応えてくれました。父親方のおばあさんも母親方のおばあさんも被爆者です。平和への強い思いや考えがひしひしと伝わってきました。

新井選手はひとつひとつていねいに答えてくれました

新井選手は、おばあさんから原爆が落ちたときのことを「何が起きたか分からなく、地獄のようだった」と聞いたことがあるそうです。遠征などで県外に行くことも多いですが「8月6日を知らない人もいる。広島と長崎の人は直接被爆者たちに話を聞ける分、平和に関する思いが強いと思う」と話していました。

子どものころ、学校で千羽鶴を折ったことがあるそうです。一番印象に残っているのは小学高学年のとき、原爆で亡くなったとされる20万人を実感しようと、大きな紙にシールを20万枚張ったことです。「あまりの多さにショックを受けました」と言いました。

原爆資料館を訪れたことは何度もあり、「何回行ってもすごく悲しくなる。戦争を知らない世代だけど、野球ができ、学校に行け、ごはんが食べられる幸せを感じました」と話していました。

新井選手は昨年、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場し、世界一を経験しました。「日本が盛り上がってうれしかった。僕は野球を通じて皆さんを勇気づけられるとうれしい。スポーツは皆を幸せにする力があり、それは平和につながると思う」。「スポーツの素晴らしさは国境をなくして、人と人とをつなげることができること。それは世界から戦争をなくしていくことにもつながります」と自信を持って話していました。(中3・吉岡逸登、小5・小坂しおり)

 
8・6に黙とう 世界中が幸せになってほしい −サンフレッチェ広島・森崎和幸、浩司選手

広島市安芸区で育ったサンフレッチェ広島の森崎和幸、浩司両選手に、平和への思いなどを聞きました。(高1・多賀谷祥子)

おばあさんから聞いた被爆当時のことなどを話す森崎和幸(左)と浩司(右)両選手(撮影・中3吉岡逸登)

―大使の抱負を。

和幸 できるだけ多くの人に平和について考えてもらえるよう、広島で起きた悲しい歴史などを伝えていきたい。

浩司 サッカーを通じて、平和の輪を広げていければ、と思う。

―平和について考えていることはありますか。

和幸 ぼくの名前に親が「平和」の「和」をつけてくれた。自然と意識している。8月6日には黙とうをするように心掛けている。同居していた母方の祖母が被爆者で、いろんな話を聞いた。

―どのような話でしたか。

和幸 一番印象に残っているのはやはり原爆投下の日の話。祖母は、その日たまたま用事があって遠くに出かけていたので助かった。兄弟はみんな亡くなった。用事がなければ、僕らは生まれていなかった。

浩司 僕らは祖父母と一緒に暮らしていたから、ご飯を食べながらいろんな話を聞いた。今の若い人は、直接そうやって話を聞く機会が少ないのは残念ですね。

和幸選手(左)も浩司選手も優しいお兄さんのようでした

―今までに平和活動や、ボランティアに参加したことはありますか。

和幸 2、3年前に、知り合いを通じて着られなくなった服をカンボジアに送ったことがある。貧しい国の人たちに自分も協力できればと思って。

―今、平和だと思いますか。

浩司 思わない。国内では多くの事件があるし、戦争をしている国もある。スポーツの世界では黒人差別をなんとかしないといけない。平和な世界をつくるというのは大変なことだと思う。

―アテネ五輪をはじめ国際試合の経験が豊富なお2人ですが、サッカーの良いところを教えてください。

和幸 言葉が分からなくてもできる。ほかの国の人と仲良くなれる。試合は戦いなんだけど、ルールがあり、同じ物を使って正々堂々と力を出し合えるのがいい。

浩司 国籍などは違っても、一緒にサッカーをすることで、共に喜んだりできることを幸せに感じる。

―将来世界がどんなふうになればいいと思いますか。

和幸 テレビでよく見るひどい事件や、いじめが無くなれば。

浩司 世界の人々が安全で安心して、幸せな人生を送れるようになってほしい。

 

広島カープの新井選手とサンフレッチェ広島の森崎和幸、浩司両選手のインタビューの様子です。スタートボタンを押してね。

 


■3選手のサイン色紙プレゼント

大使になってもらった3人に、平和への思いを色紙に書いてもらいました。このサイン色紙計3枚を抽選で読者にプレゼントします。

色紙プレゼント

新井貴浩選手は「スポーツは国境をなくし 人をつなぐ」、森崎和幸、浩司両選手はそれぞれ「心の花を咲かせよう 平和の花を」「サッカーを通じて平和な国を作ろう」と思いを込めています。

応募する方は、はがきに、(1)希望する選手の名前、(2)住所、名前、学校名と学年(既卒の方は職業と年齢)、電話番号を書いて、

〒730−8677  広島市中区土橋町7の1 中国新聞こども新聞編集部

へ郵送してください。

締め切りは4月2日(必着)です。

一言、ひろしま国の感想も書いてもらえるとうれしいです。色紙の発送をもって当選者発表とします。(中2・土田昴太郎)