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世界の中のヒロシマ

(5)赤道の国 戦争の怖さ伝える佐藤友子

オラ!

スペイン語で「やあ」という意味です。私は、南米エクアドルで青年海外協力隊員として、観光を通じた村おこしのボランティアをしています。「エクアドル」とは赤道の意味で、その名の通り、国の中に赤道が通っています。地球の裏側にあるアジアの国々のことはあまり知らない人が多く、日本と中国が違う国だということを知らない人もいます。

エクアドル

原爆の惨状などを伝えるポスターを熱心に見て、ノートに書き写す高校生たち(1日)

佐藤友子(さとう・ともこ)

東京都出身。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、2005年4月青年海外協力隊員(観光業)としてエクアドルに赴任。今月までロハ市観光課で、体験型観光の開発などをした。

そんな国の南の果てにあるロハという町で、1日に「原爆展〜平和への歩み」を開きました。約600人の方に来てもらいました。日本では、学校などで原爆の恐ろしさを学ぶ機会があるので、みんな知っていますが、他の国では知らない人もたくさんいます。そもそも、学校に通えない子どもも世界中にはたくさん存在しているのです。

今回の原爆展は主に高校生を対象に、原爆映画の上映と被爆写真のポスター展示などをしたのですが、「原爆という言葉は聞いたことがあったけれど、どういうものかは知らなかった」という学生が大半でした。原爆投下後の広島の様子や被爆者の写真などを、信じられないという様子で見入っていました。

エクアドルは原爆を持っていません。しかし、世界中には2万7000頭以上の核弾頭が存在していて、地球上のすべての人を殺すことができます。私たちは核保有国でないからといって無関心でいることはできない、と訴えました。

エクアドル地図

感想を紹介します。

―亡くなった方やその家族、被爆者の方々のことを考えると心が痛みます。「命」が私の中で今まで以上に大切なものと感じられ、一日一日を大切に生きていかなければならないと思いました。(18歳女性)

―戦争は物事を解決する手段ではなく、更に悪くする手段であると思います。今日、多くを考える機会となりました。(21歳女性)

―私は驚きと疑念を同時に抱きました。科学はどんどん進み、人類の能力はここまできているのです。平和をもたらすために、私たちが自滅しないために、核兵器は廃棄されなくてはなりません。(45歳男性)

会場には、千羽鶴を作るブースも設置しました。たくさんの人が「広島に自分の願いを届けたい」という気持ちで鶴を折ってくれました。こんなふうに一人でも多くの人が、平和を切に願うようになれば、核兵器が存在しない世界に変えることができるのではないでしょうか。

 
禎子さんへの手紙



この手紙を書いてくれたアントニオさんは、午前中一度原爆展に来て、サダコストーリーに心を打たれ、午後に彼女に宛てた手紙を書いて戻ってきてくれました。

原爆展そのものに対する感想というよりは、佐々木さんに宛てた手紙を書くことで、その当時に亡くなった人へのお悔やみや自分がその当時感じたこと、今、平和を切に願っている老人がエクアドルにもいることを広島の人々に伝えたいと言っていました。

そういう人間が地球の裏側にもいるから、広島、長崎で平和運動をしている方々にも頑張ってほしいということを伝えたかったそうです。

GRULLA DE PALABRASとは、「言葉の鶴」という訳になるのですが、スペイン語で折鶴を GRULLA DE PAPEL「紙の鶴」と表現するのでそれをもじって、平和の願いを込めた折鶴ではなく、言葉で鶴を表現していますということを言いたいのだと思います。