中国新聞


ADHD児(注意欠陥多動性障害) 理解深めて
広島の教師・医師・保護者ら「会」結成


 「対人関係」を学ぶ 講演会やセミナーも

 注意欠陥多動性障害(ADHD)についてともに学び、理解を深めていこうと、広島県内の教育関係者や医師、保護者らが「広島ADHDの会・からっぽ」を結成、活動を始めた。例会のほか、セミナーなどを企画している。

(伊藤一亘)


 昨年末に広島市東区地域福祉センターであった初めての例会。代表を務める広島大大学院の落合俊郎教授(障害児教育)が、ADHDなどの子どもたちに対する指導法などについて語った。

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「広島ADHDの会・からっぽ」の初めての例会で、子どもとの接し方などについて語る落合代表

 落合代表は「不登校や引きこもりに陥る児童、生徒の中には、かなりの数のADHDや学習障害(LD)などの子がいる」と指摘。人間関係づくりの知識と技術を学ぶソーシャル・スキル・トレーニングの大切さを強調した。

 会場には、教育関係者や保護者ら約七十人が出席。春に小学校に入る子ども(6つ)がADHDの診断を受けたという広島市西区の女性(34)は「対人関係が築けないので心配だった。相談先や受け入れ先も少なく、会の結成は心強い」と喜んでいた。

 同会は、臨床心理士としてスクールカウンセラーなどを務める澤田章子さん(50)=広島市西区=が、日々の活動で相談を受ける中、ADHDの子どもと保護者のサポート組織の必要性を痛感。実際に指導に当たっている落合教授や医師らに呼び掛けて昨年六月から結成の準備を進め、全国組織の特定非営利活動法人(NPO法人)「えじそんくらぶ」の地域組織として十月にスタートした。

 事務局を担う澤田さんは「ADHDの子は授業をじゃまする『迷惑な子』ではなく、適切なサポートがあれば、ユニークな発想やひらめきを持つ『すごい子』。多くの人の知恵と経験を持ち寄ってサポートし合いたい」と語る。

 今後、会員を募りながら、学習会やフリートークといった例会を月一回開き、交流を深めながら情報交換するほか、講演会やセミナーなども計画。今月二十一日には「えじそんくらぶ」の高山恵子代表を招き、東区地域福祉センターで午後六時二十分から講演会を開く。

 文部科学省の調査では、ADHDなど発達障害の子どもは約6・3%に上るとみられる。同省は適切なケアを実施する「特別支援教育」を二〇〇六年度にもスタートさせる構えだ。

 落合代表は「子どもたちがかかわる事件が増える中、ソーシャル・スキル・トレーニングは、ADHDの子どもだけでなく、一般的にも役立つ。具体的なプログラムづくりも考えていきたい」と話していた。

 問い合わせは、電子メール(karappo@hello.odn.ne.jp)か、ファクス082(545)8858で。


注意欠陥多動性障害 注意力・衝動性・多動性を自分でコントロールできない脳神経学的な疾患とみられるが、原因は分かっていない。一見問題がないため、障害が理解されづらく、「しつけが悪い」などと子どもや家族が孤立しがちだ。適切な支援、教育などで、問題行動は軽減されることが分かっている。

(2005.1.8)


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