中国新聞


乳幼児も要注意 ノロウイルスどう防ぐ
手洗い・加熱消毒が大切


 広島市立舟入病院・藤井院長に聞く

 七人の死亡者が出た福山市赤坂町の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で集団感染したノロウイルス(小型球形ウイルス)。ウイルスの特徴や予防法、発症時の対応について、小児科医で感染症に詳しい広島市立舟入病院の藤井肇院長に聞いた。

■11―3月に流行 乳幼児も要注意

 ノロウイルスの大きさは、食中毒などを起こす一般の細菌の十分の一と非常に小さい。「身近にあるウイルス」という。特に十一月から三月の冬場に流行するケースが多い。

 感染した場合、下痢や嘔吐(おうと)、発熱などの症状が出るが「風邪や食べ過ぎなどほかの病気との区別が難しい」と指摘。健康な人は二日余りで症状は治まり「一般的には怖くない感染症」という。

 ただ、一日十回以上の下痢を起こすケースがまれにある。「四、五回続けて水のような下痢をした場合は脱水症状を起こす恐れがある。かかりつけの医師を訪れ、適切な治療を受けてほしい」とアドバイスする。

 十〜百個と少量のウイルスで感染するため、流水で指先や指の間など手をしっかり洗ってウイルスを流すのが第一の予防法。まな板など調理器具を食材ごとに替えてよく洗ったり、加熱(七五度で五分間または八五度で一分間)したりすることが大切、という。

 感染した疑いのある人が出た場合の注意点として、

(1)タオルを共用せずペーパータオルなどを使う
(2)嘔吐物や下痢が空中に漂わないよう乾燥に注意する
(3)症状が治まっても十日から一カ月程度ウイルスの排せつが続くことがあるので十分気を付ける
―などを挙げる。

 特に、高齢者だけでなく、乳幼児ら抵抗力の弱い人たちが集団生活する施設や保育所などは要注意。三、四人に疑われる症例が出た際は保健所に届け出るとともに、感染対策を一段引き上げるなど早めの対応が必要としている。

(2005.1.12)


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