中国新聞


妊婦糖尿病 胎児に影響


 学会調査 死亡や先天異常

 食生活の欧米化などで妊婦の間でも糖尿病が増加し、二〇〇二年までの七年間に、全国で少なくとも二百十九人の赤ちゃんが先天異常になったり出生直後に死亡したりしたことが二日までに、日本糖尿病・妊娠学会の全国調査で分かった。

 妊娠前から血糖値を適切に管理すれば胎児への影響を防げるのに、早期発見のための二十〜三十代向け健診制度が未整備で、産婦人科の現場にも早期診断の大切さが周知されていないのが原因。

 糖尿病は自覚症状に乏しく、調査の中心となった東京女子医大病院の佐中真由実講師は「特に太り気味の人や、親が糖尿病の人は、妊娠前に血糖値検査をしてほしい」と呼び掛けている。

 赤ちゃんへの影響を調べた大規模調査は初めてで、〇三年春、日本産科婦人科学会の専門医研修施設を対象に実施。二百三十一施設(回答率28%)から、七年間に出産した約七十四万人の情報が寄せられた。

 妊娠中は血糖値が高くなりやすく、これらも含む有症者は延べ五千二百三十二人(0・7%)。妊婦に占める割合は一九九六年の0・5%台から二〇〇二年の0・8%台まで年々増えていた。

 多胎を除いた赤ちゃんでデータがそろっている三千九百七十三人中、百九十五人(4・9%)に心臓などの先天異常があった。厚労省研究班の報告書では同時期の子供の発生率が1・4%とされ、三倍以上だった。

 生後四週未満で死亡した子も二十四人(0・6%)おり、人口動態統計の新生児死亡率(0・2%)より高率だった。

 こうした胎児への危険を防ぐには、妊娠初期から血糖値を下げる治療が重要。調査では全体の58%が妊娠後に高血糖と診断されたが、そのうち20%程度は以前からの有症者とみられた上、半数近くが妊娠末期の診断で遅れが目立った。

(2005.2.3 共同)


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