中国新聞


尾道・高須小校長自殺から2年
地域の学校へ対策着実


 町体育祭に教員・10の窓口設置 遺志 現場に生きる

 民間出身で尾道市立高須小校長だった慶徳和宏さん=当時(56)=が自ら命を絶って、九日で二年。学校と地域の連携を目指し、同小は二〇〇四年度、保護者や地域の窓口役に一般の教員を配置するなど組織運営の円滑化を進めてきた。この一年間の取り組みは、一歩ずつ実を結びつつある。(榎本直樹)

 昨年九月に高須小のグラウンドであった高須町の町民体育大会。地域住民や子どもたちと一緒に、教職員約二十人も参加。「夢キラたかす」と書かれたそろいのユニホームを着て、パン食い競走やラムネの早飲みなどに出場し、大会を盛り上げた。

 高須地区のある体育協会役員は「これまでは校長と教頭だけが出席していたが、先生たちも積極的に参加するようになった」と振り返る。

 高須小では〇三年度まで、学校の窓口役は教頭だけだった。〇四年度からは「地区」「スポーツ」など十の委員会をつくり、それぞれ窓口となる担当の教員を配置。校長や教頭は決裁する形になった。平尾俊治校長は「多くの先生が行事に加わり、地域とのつながりが深まった」と成果を語る。

 学校とともに、PTAも活動の輪を広げた。昨年八月に学校のグラウンドで開かれた「サマーフェスティバル」では、子どもたちに楽しんでもらおうと、射的や金魚すくいなどを初めて用意。保護者を対象にした座談会も三月までに五回開き、教職員を交えて子どもとの付き合い方などについて話し合った。

 田窪日出男PTA会長(40)は「生き生きとした子どもたちの表情を見ると、この二年間の取り組みが少しずついい雰囲気を生み出していると実感する」と語る。「笑顔の絶えない学校づくり」を目指した慶徳さんの遺志は今、教育現場で形になって現れている。

(2005.3.9)


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