中国新聞


大竹、出産医療ゼロに
国立病院 7月で中止


 医師確保できず 市は反対の意向

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産婦人科の窓口に張り出された分娩の引き受け中止の通知(大竹病院)

 大竹市の国立病院機構大竹病院(沖田肇院長)が七月以降、分娩(ぶんべん)の取り扱いを中止する方針を決めたことが分かった。産婦人科の医師が確保できないことが理由で、これで市内で出産できる医療機関はゼロとなる。市は困惑し、中止に反対する意向を示している。

 病院側によると産婦人科の常勤医師三人のうち、広島大の産婦人科医局出身の一人が、医局側の都合で四月から別の病院に勤務するという。沖田院長は「二人体制では二十四時間対応が難しく、安全な出産の責任が持てないと判断した」と話す。産婦人科の他の診療は、これまで通り続ける。

 広島大の工藤美樹教授(産婦人科)によると昨年四月から始まった新人医師の臨床研修制度の影響などで産婦人科医の不足が深刻化し、「どこかの病院の医師を減らさざるを得ない」という。

 大竹病院では毎年、約二百三十人が分娩している。市によると、市内に二つの産婦人科医院があるが分娩は受け付けておらず、助産師もいないという。

 大竹病院は七月以降の出産希望者には別の病院を紹介する方針だが、近隣の廿日市市や岩国市の病院までは車で二十―三十分かかる。二月に病院側から通告された市保健医療課の小池弘純課長は「地域医療にダメージが大きい。納得できず、中止しないよう病院側に伝えた」と話している。

 県内では、JA府中総合病院(府中市)や因島総合病院(因島市)などが昨春から、同様の理由で分娩の取り扱いを中止している。

(2005.3.11)


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