中国新聞


中国地方 128社が子育て支援計画
次世代法対応で提出 義務付け企業の2割


 育児と仕事の両立を図る次世代育成支援対策推進法が一日全面施行され、中国地方では六日までに百二十八社が子育て支援の行動計画を各県の労働局に提出した。届け出が義務付けられる従業員三百一人以上の企業の二割近くが対応。少子化の進行を食い止めるため、企業も雇用環境や労働条件の整備を迫られる。(9面に関連記事)

 従業員三百一人以上の企業は中国地方に約六百五十社。提出済みの百二十八社のうち、届け出が努力義務にとどまる三百人以下の企業も十七社あった。

 行動計画は、厚生労働省が定めた書類で今後取り組む予定の内容を選択する。百二十八社のうち94%が育児休業制度の周知など「雇用環境の整備」を予定。残業の削減など「労働条件の整備」も69%が計画する。子育てに関する地域貢献など「その他」は43%だった。

 広島労働局雇用均等室は「月末までにはある程度の数がそろいそう。少子化を食い止めるには企業をはじめ社会全体で育児を支援する体制づくりが必要」としている。

■育児と両立 働き方柔軟に

 子育てと仕事を両立できる環境づくりを促す次世代育成支援対策推進法の全面施行を機に、中国地方の企業でも、勤務時間や育児休業制度を見直し、具体的に目標を設定するなどの動きが出ている。一定規模以上の企業には、環境改善へ行動計画の策定が義務付けられる。各社とも子育て支援の強化が求められている。

ハローズ 再雇用制度を新設
ベネッセ 「時短」期間を延長

 部署ごとに定めていた勤務時間を見直すのはスーパーのハローズ(福山市)。六月から保育所の送り迎えなどの育児環境に合わせ、各従業員が柔軟に時間を設定できるようにする。再雇用登録制度も新設し、結婚や育児などで退職する場合、事前に登録すれば優先的に仕事に戻れるようにする。

グラフ「中国地方の企業の子育て支援計画の提出状況と予定する内容」

 同社の大半の店舗は二十四時間営業しており、従業員の確保が課題となっている。豊田和光人事教育部長は「勤務ローテの編成は複雑になるが、新人を一から教育する手間を考えれば、会社にもメリットが見込める」と狙いを説明する。

 西京銀行(周南市)も、出産や育児を理由に退職した人を対象に、二年以内に再雇用する制度の導入を計画している。

 社員の六割を女性が占めるベネッセコーポレーション(岡山市)は今月から、育児のため時短勤務できる子どもの対象年齢を、小学校就学前から小学三年の年度末に延長。妻が専業主婦の場合でも男性社員に育児休業を認めるようにした。同社は「働く意志があっても働けないケースが出てくれば、会社にとっても損失」と受け止める。

 「男性社員から毎年、育児休業の取得者を一人は出す」と目標を打ち出すのはサタケ(東広島市)。広島ガス(広島市南区)も、社員の育児環境に合わせた勤務時間の多様化などを検討し、地域の子育て支援策として小学生を対象にしたサイエンスショーにも力を入れる。広島銀行や山口銀行(下関市)は「残業の削減」などに取り組む。

 同推進法では、子育て支援に力を入れる企業に認定マークを与える制度も設定している。ただ、一定の期間内に「男性の育児休業取得者を出す」などの条件があり、早くも「ハードルが高い」との声も漏れる。

 中国地方では六日までに百二十八社が行動計画を提出した。しかし、まだ行動計画を策定する義務がある企業の二割。「検討中」とする社が多いのも実情だ。


次世代育成支援対策推進法 次世代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境を目指し、国や県、市、企業、国民の責務を定めた。2003年7月に成立、今月1日全面施行。従業員301人以上の企業は、仕事と子育ての両立を図るために必要な雇用環境の整備など行動計画を策定し、各県の労働局に届け出なければならない。300人以下の企業にも努力義務が課せられる。

(2005.4.7)


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