中国新聞


子と交流 おやじの輪拡大
東広島 おもしろがる心、地域に力


 ■徹夜ハイク・川探検・気球上げ…

 東広島市の「おやじ」たちの元気がいい。三年前から、地域で父親が子どもと交流する「おやじの会」を次々に設立し現在、十団体。二月には「東広島おやじ連」を旗揚げした。個性豊かな活動を繰り広げながら「市全域での結成を目指す」と張り切っている。(治徳貴子)

 毎週木曜日。午前七時から一時間、同市の志和中の駐輪場前に「おはよう」と生徒に声をかける出勤前の男性の太い声が響く。いつも四、五人。「志和おやじ会」(約三十人)の面々である。

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登校する中学生に雨の中、「おはよう」と声を掛ける「志和おやじ会」のメンバー

▽10団体に個性

 生徒の喫煙や深夜のはいかいを心配して昨年、志和町内の四小中学校の保護者らでつくった。夏には「オーバーナイトハイク」を開き、三年生と徹夜で町内約三十キロを一周した。「ハイクをきっかけに受験へ気分を切り替えてくれれば、悪い道に走らないはず」と上島寿彦代表(48)。非行防止を旗印にしている。

 「父親の元気な姿を見せて子どもに元気を与えたい」と熱く語るのは、「板城おやじの会」(約六十人)の荒谷正信代表(57)。板城小の保護者らが中心で、「松板川を探る会」、道を花で飾る「板城マイロードプロジェクト」などアウトドア的な活動が身上だ。

 昨年五月、同小校長から「校歌にある中城山を児童が知らない」と聞いた。「山で遊ぶ楽しさを」。秋から倒木を切って整備し、三月に児童と登り山頂で校歌を歌った。「山を駆けめぐった子ども時代を思い出し、目が潤みました」と荒谷代表は感慨深げだ。

▽3年前第1号

 市内のおやじの会は二〇〇二年四月、寺西小学校区に誕生した「寺西おやくろ会」が第一号。「翌年にできた『小谷おやじの会』の活動が市の広報や新聞で紹介されて、あっと言う間に広まった」と市教委生涯学習課は説明する。

 テント張りやとんど作りなど力仕事が売りの「御薗宇おやじの会」、父子のスポーツ交流に熱心な「西志和小学校PTA 父親委員会」…。活動内容への力の置き方はそれぞれ違う。

 「でも、共通しているのは父親自身が活動をおもしろがっている点」。東広島おやじ連の会長を務める「小谷おやじの会」(約九十人)の伊達義明会長(49)は打ち明ける。同会のモットーは「子どもがうらやましがるほど、親が楽しむ」。

▽情報の共有も

 そば打ち教室を企画したり、焼きそばなど露店を開いたり、熱気球を上げたり…。「別々の職場の父親が集まり、酒を飲みながら企画を練る。仕事の枠組みを超えたつながりができるのが何よりの魅力」と力を込める。

 硬派でならす「志和おやじ会」は月一回、中学校教師との懇談を欠かさない。むろん酒が出る。「お酒は活動の潤滑油。これがなくては長続きはしない」と上島代表は実感を込める。

 おやじ連は今月下旬、インターネットを利用してメールマガジンを発行する。各おやじの会のイベント案内や、機材の貸し出し情報などを掲載。二カ月に一回、市内の小中学校のPTA会長などに流す。ホームページ開設も計画している。

 「情報交換はもちろん、会の運営などのノウハウを伝えて設立を促す。インターネットを駆使して輪を広げたい」と伊達会長。情報技術(IT)で武装したおやじたちの意気込みは強い。

(2005.5.23)


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