中国新聞


不登校の中高生に生きる力を
福山の開業医が私塾開設


 ■「考える授業」用意

 福山市春日町の開業医藤田仁志さん(48)が、不登校の中高校生を対象にした私塾を開設する。自分で物事を考える授業などを工夫し、子どもたちの積極性を引き出して「生きる力」を養う。開業医による不登校塾の開設は広島県内初で、全国的にも珍しいという。現在、塾生を募集している。

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カリキュラムなどの資料を広げ、スタッフと打ち合わせをする藤田院長(左)

 藤田さんは、公立学校共済組合・中国中央病院(福山市)の元小児科部長で、心身症の子どもを診察してきた。二〇〇二年に退職するまで約十年間、院内学級のサポート役を務め、学校との連携にもあたった。

 退職後に「藤田小児科内科医院」を開業した、藤田さんは「教育の重要性を痛感した。心身症の専門医の立場でかかわりたい」と塾の開設を準備してきた。

 引きこもりに近い子から、もう一歩で通学できる子まで不登校の状態はさまざま。授業も、中国人留学生を講師に招いた太極拳から、新聞などからビジネスチャンスを探る起業まで十二科目用意。スムーズに学校復帰できるよう、小学校から高校レベルまでの基礎教科も学力に応じて指導する。

 月―金曜日の午前十時から午後五時までで、二時間の授業を午前一コマ、午後二コマ設ける。一コマから受講できる。授業料は一コマ千円。通信費などで年間五千円が必要になる。定員は各科目五人程度で、一人から授業を行う。

 藤田さんを塾長に、看護師や事務職員ら約十人が携わる。医院の相談室や院長室、近くのマンション一室を拠点とする。

 藤田さんは「不登校児の多くは、純粋で潜在能力が高い。それぞれの個性を尊重したい」と意気込む。医療保険が適用されるデイケア施設への移行も検討している。

 希望者は、未成年を対象に火、水、金曜日に同医院で開いている予約制のカウンセリングを受ける。同医院TEL084(948)6500。

(2005.6.1)


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