中国新聞


子育て支援へ有識者委
9月にも政府 手当拡充など検討


 政府は十四日、少子化対策に本格的に取り組むため、子育て支援策を包括的に協議する有識者委員会を九月にも発足させる方針を決めた。深刻化する少子化の背景には、育児や教育に費用がかかりすぎるとの指摘があるため、小学三年生までとなっている児童手当の対象学年引き上げや増額、子どもがいる世帯の減税など、経済面での支援策を中心に検討し一年後をめどに具体案を打ち出す。

 また、高齢者対策に偏っている社会保障給付費の配分を見直し、一方で消費税率引き上げや定率減税廃止など、税制改革による財源確保を検討する。

 有識者委員会は、関係閣僚らでつくる少子化社会対策会議(会長・小泉純一郎首相)の下部機関として位置付け、閣僚や学識関係者などで構成。

 対策会議が昨年十二月にまとめた「子ども・子育て応援プラン」に盛り込まれた働き方の見直しや育児休業の促進などを効果的に進めるため、人口が増加から減少に転じる今後五年間を重点的に検討。各省庁ごとの縦割りの予算では対応できない横断的で思い切った対策にしたい考えだ。

 現在、子ども一人に付き月五千円(三人目以降は月一万円)が支払われている児童手当は、支給を受けられる所得上限についても引き上げを検討。また休業前の賃金の40%が支給されている育児休業給付の増額なども協議される見通し。

 子育て減税は、現行の扶養控除に代えて、所得水準に関係なく一定額を減税するため低所得者の負担軽減が大きいとされる税額控除の創設が検討課題となりそうだ。

 今月発表された二○○四年の人口動態統計で、日本人女性が一生に産む平均の子どもの数である合計特殊出生率は一・二八九となり、過去最低を更新、○七年にも人口減少が始まると予想されている。年金など社会保障制度や社会、経済への深刻な影響は避けられない見通しで、少子化対策は待ったなしの状況になっている。

(2005.6.15 共同通信)


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