中国新聞


子連れ限定 気兼ねなく映画を満喫
広島で上映会


 育児中の親 「久々にリフレッシュ」

 赤ちゃん連れで映画館に行きたい―。子育て中の親たちの願いが実現した。十八日に広島市安佐南区のシネマコンプレックス(複合映画館、シネコン)「TOHOシネマズ緑井」であった、子連れ限定上映会「ママズ・クラブ・シアター」。各地から集まったママ、パパたちは、育児や仕事に忙しい日常を忘れ、スリル満点の話題作「宇宙戦争」を楽しんだ。(西村文)

赤ちゃん連れで映画を楽しむ母親、父親たち

 上映三十分前。一番乗りは、広島市中区の主婦村上陽子さん(27)。傍らのベビーカーには、八カ月の長男幸志朗君。妊娠六カ月の義姉、長浜由佳さん(29)も一緒だ。

 「映画にずっと飢えてました」。映画が大好きという村上さん。出産前は月一回は必ず映画館に通っていたほど。一転して現在は、母乳育児中ということもあって、身軽には外出できない日々。

 「テレビで映画を見ても、気分転換にならなくて。やっぱり、映画館の雰囲気はいいですね」と声が弾む。義妹の話にうなずいていた長浜さんは「出産後は毎日大変だろうなあと想像してましたが…。こういった親に優しいイベントがあると、子育てを楽しめそう」。

■照明や音響に配慮

 三十組の乳幼児連れが座った館内では、父親の姿も目立った。三原市を早朝に車で出発してきたという医師(34)は、妻(30)と長男(八カ月)と一緒。「子育てに忙しい妻を置いて、一人で映画には行けない。こういうイベントはうれしいなあ」と笑顔だった。

 映画が始まっても、館内は薄明かりのまま。音響も小さめ。赤ちゃんを驚かさないように―との配慮という。凶暴な宇宙人が姿を現し、人々を襲い始めた―。意外なことに、赤ちゃんたちは静か。親のひざで、すやすや寝息をたてる子も。

 「子連ればかりなので気兼ねがなくてよかった」。ぐずり始めた二女(八カ月)を抱き上げ、通路であやしていた、安佐南区の主婦岩本恵さん(29)はほっとした表情。三年前に長女を産んでから「映画なんてあきらめてました」。新聞でママズ…の開催を知り、長女を義母に預けて駆けつけた。「リフレッシュできました」と、満足した顔で劇場を後にした。

■月1、2回開催へ

 「楽しかった」「久しぶりでうれしかった」。終演後のアンケートには喜びの声が多数つづられていた。「途中にオムツ替えの休憩時間を設けてほしい」「子どもをあやしていたら字幕を読み損ねた。吹き替え版の方がいい」といった、子連れならではの注文も。

 「これほどの反響があるとは…」と驚く支配人の梶山晃さん。来月以降も月一、二回開催することを決めた。「子連れで気軽に出掛けられる街づくりの一翼を担いたい」と期していた。


《ママズ・クラブ・シアター》 東宝が関東、近畿地方を中心に、系列のシネコン計三十カ所で定期的に実施。赤ちゃん連れを主な対象に、女性向きの映画や話題作を上映している。シネコン業界最大手の「ワーナー・マイカル」も同様のサービスを実施。中四国では、今回のTOHOシネマズ緑井の試みが初。

(2005.8.22)


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