中国新聞


DV防止 地域一丸で
福山の「ホッとるーむ」1周年で集い


 女性や親子13組28人保護

 夫や恋人による暴力(DV)による被害者を保護するシェルター「ホッとるーむ」が、広島県東部で初めて福山市に開設されて一年がたった。これまでに女性や親子連れ十三組二十八人を保護してきた。DV被害防止には地域ぐるみの取り組みが欠かせない。二十五日に福山市内であった一周年の集いでも、行政や法律専門家などとの連携強化を求める声が相次いだ。

 「ホッとるーむ」は昨年九月、特定非営利活動法人(NPO法人)「ホッとるーむふくやま」(石井昌子代表)が市内のマンション一室に開設。DV被害者や、その子どもたちが約二週間滞在でき、一時的な避難場所、就職や離婚手続きを相談する場として提供している。

 開設からの一年間で、二十〜七十歳代の女性や親子連れ、十三組二十八人を保護した。二十歳代の女性の場合、酒を飲んで暴れる夫を恐れ、三歳の長女と助けを求めてきた。家庭裁判所に離婚を申し立て、シェルターを出た後もスタッフが調停手続きをサポートしている。四十歳代の女性は、夫の暴力に耐えきれずに訪れた。一週間滞在した間、夫や高校生の長男、二男と相談し、家に戻ることを決心した。

 昨年度に寄せられた電話などの相談は約二百件に上る。被害の届け出や夫との離婚問題に加え、別居後の就職や住居探しなど、内容も多岐にわたる。被害防止やDV被害者の自立支援には、石井代表は「司法、医療、行政などとの連携が必要」という。

 二十五日にあった集いでは、弁護士や県広島こども家庭センター(広島市南区)の相談員、助産師が意見交換し、それぞれの立場からの課題を指摘した。瀬尾義裕弁護士は、DV被害者の相談について「心の面からのカウンセリングがなければ、法律的なケアも十分できない」と指摘。家庭センターの為広幸子相談員は「民間に被害者の受け入れを要請する場合もあり、もっと密な連携に努めたい」と話した。

(2005.9.27)


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