中国新聞


公開授業で質向上へ
柳井市教委、小中校と連携


指導主事らと意見交換

 柳井市教委は、公開授業を通して指導主事や小中学校の教師が話し合いを重ね、質の高い授業を目指す「学習指導カウンセリング事業」に本年度から取り組んでいる。教育委員会と学校現場が授業内容について、継続的に意見交換する珍しい試み。これまでに十六人の教師が公開授業を申し込み、分かりやすい授業の進め方を探っている。(島田俊之)

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公開授業で教える村上教諭(左端)。廊下や教室の後ろでは指導主事や同僚教師が授業の進め方を見守る

 公開授業は月に一回程度。市教委の三人の指導主事が手分けして、内容をチェックする。同僚や他校の教師も参加できる。

 教師による授業内容の「予習」と「復習」が特長だ。まず予習。教師は授業前、指導主事のアドバイスを受けながら指導案、つまり「シナリオ」を作る。授業のキーワードにどう導くか、その過程で児童、生徒がどう質問し、どう答えるかなどを細かく想定する。

 授業を終えた後は復習。指導主事らと授業内容や進め方などを徹底的に話し合い、次の授業に生かす。この作業を繰り返しながら、レベルアップを図っていく。

 英語を教える柳井中の村上綾子教諭は「子どもの予想外の問い掛けに時々、動揺してしまう。対処法などのアドバイスは参考になる」と、このシステムを歓迎する。

 指導案を基にした公開授業は年一回の研修会などで実施している。しかし、指導案作りには時間がかかり、普段の授業で定着していないのが実情。さらに、授業の公開に消極的な教師もおり、内容のマンネリ化などの指摘もある。

 このため、市教委と小中学校は「教師の一方的な授業にならないよう、指導主事らの意見も取り入れて内容の向上を目指したい」として、連携に踏み切った。

 市教委の加藤浩久指導主事は「まず指導案をきっちり作る経験を積んでほしい。楽しく、分かりやすい授業を進められるよう助言したい」。学校教育課の桑原眞課長も「子どもたちにとって有意義な授業にするため、教師も意識改革をして、この事業に参加してほしい」と呼び掛けている。

(2005.11.16)


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