中国新聞


学校選択制でPR合戦
来春導入の福山市立中学校


学力・部活紹介や授業開放

 来春、学区外通学ができる学校選択制を導入する福山市立の中学校で、入学する六年生向けのPRが活発になっている。学力テストの結果やクラブ活動の様子などをホームページ(HP)やオープンスクールで公開。少子化が一段と進む中で、公立中による生徒の「獲得合戦」の様相を呈している。(山本将克)

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学校選択制の導入に備え、学校PRに力を入れる一ツ橋中に登校する生徒

 市中心部にあるJR福山駅の半径五キロには市立中九校が集中する。市教委が二〇〇六年度から実施する学校選択制では、自力通学できる範囲内で、特色ある教育などを理由に学区外の中学校へ通学できるようになる。制度が浸透すれば、「越境通学」の最激戦区と予想されている。

 この地区の東端にある一ツ橋中(東手城町)は今月六日、制度導入をにらんで進学希望者を対象にオープンスクールを開いた。昨年度に続く二度目の試み。授業を見学でき、県内でトップクラスの陸上競技などクラブ活動の体験入部も実施。約二百人の参加者のうち三〜四割は学区外からだったという。

 昨年度はPTAに組織改編を働き掛けた。学区外の保護者でつくるグループを編成し、受け入れ準備を整える。平川光明校長は「市立中同士で教育の質を競い合う時代に入った」と言い切る。

 市内の市立小に通う児童は〇五年五月現在、二万四千五百五十一人。合併地域を含めた十年前の児童数と比べて約五千人減っている。国立や私立、県東部初の公立中高一貫校である福山中・高への進学を希望する児童も少なくない。

 市教委は十月中旬、全市立小に学校選択制の申請書を配布。三十二市立中がそれぞれ編集したA4判一枚の学校紹介も付け加えた。「キャリア教育」「使える英語」「経営力」などの言葉が並び、十四校はHPアドレスを併記。PRに試行錯誤している。

 市南部に位置する鞆町の鞆中は、地域に残る伝統文化の継承活動や、市平均を上回る学力テストの結果を載せた。三島俊伸校長は「他校との違いは何か。保護者の関心はどこに向いているのか。学校の良さを発信する手法をあらためて見つめ直した」と打ち明ける。

 市教委によると市立中への学区外進学の申請は十六日現在、約七十件に達した。申請は十八日まで受け付け、希望者多数の場合は十二月九日に公開抽選会を開く。学事課は「ほぼ予想通りの件数。子どもの意向を極力尊重する」としている。

(2005.11.17)


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