中国新聞


集団登下校4倍増の88校
広島市が調査


 広島市安芸区の女児殺害事件を受け、市内の小学校で、集団登下校や地域団体による通学路見回りなどの取り組みが急増していることが、市教委が六日まとめた調査結果の速報値で分かった。しかし、教職員による巡視も含め未実施の小学校もあり、市は全庁組織「市子どもの安全対策推進本部会議」を七日に発足させた。(林仁志)

 市議会安心・安全なまちづくり対策特別委員会が同日開かれ、市教委が、事件後に全市立小百四十校を対象に実施した登下校時の安全対策調査結果の概要を報告した。

 それによると、児童二人以上で登下校しているのは事件前後で同数の百二十五校(89%)だったが、グループでの集団登下校は事件前の二十三校(16%)が事件後は八十八校(63%)へと四倍近く増えた。

 また、教職員が毎日通学路に出て巡視しているのは十一校(8%)が八十校(57%)へ急増。地域団体による通学路の毎日巡回も七十四校(53%)が九十二校(66%)に増えた。

 集団下校や通学路巡回を実施していない小学校は「学年で終業時間に差がある」「巡視の人員確保が困難」などを理由に挙げているという。

 特別委は冒頭、全員で被害女児の冥福を祈り黙とう。委員からは「見守りを継続するにはボランティアも疲弊する。予算措置して人を配置する方法も検討してはどうか」「下校時の児童の通過点や自宅の位置、児童が一人になる場所を地図に落として対策を取るべきだ」などの意見が出た。

 市教委は引き続き、調査結果を詳細に分析。登下校の安全確保に加え、不審者情報の迅速な提供、児童や生徒の自己防衛意識の高揚なども柱に、再発防止策を検討していく。

(2005.12.7)


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