中国新聞


カメラ+緊急通報装置+照明
スーパー防犯灯 抑止効果あり
岡山市 路上犯罪が激減


 いたずら・誤報 課題も

 広島市安芸区の小一女児殺害事件などを機に、街灯に防犯カメラや緊急通報システムを備えた「スーパー防犯灯」が注目を集めている。広島県なども来年度の設置の検討を始めた。昨年四月、中国地方で初めて導入された岡山市では、設置区域の犯罪が大幅に減る効果が出ているものの、いたずらや誤報が相次ぐなど、課題も出ている。(内藤俊男)

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街灯に防犯カメラと通報システムを搭載した「スーパー防犯灯」。犯罪摘発に貢献したケースはまだない

 スーパー防犯灯は街灯の柱にインターホンとカメラ、赤色灯を搭載。緊急時に通報ボタンを押すと警報音が鳴り、赤色灯が点滅、同時に高性能の防犯カメラが動く。二十四時間いつでも県警通信司令室にテレビ電話でつながって警察官と直接話ができ、司令室からカメラの向きや倍率を制御、人相や着衣などを識別できるという。昨年四月、JR岡山駅西口と、岡山国体メーン会場の県総合グラウンド(岡山市いずみ町)周辺に十二基を設置した。費用は計三千七百万円、運用費は年間二百万円。

 県警のまとめによると、設置から今年十一月までの通報は計百十九件。うち約八割の九十七件は信号機のボタンと間違えるなどした誤報で、二十一件はいたずら。「本物」の通報は、逃げ出した犬が路上でほえていることを知らせる一件だけだった。近くの商店の女性店員(59)は「間違いやいたずらで頻繁に警報が鳴るので、だんだん気にしなくなった」と、緊張感が薄れていることを打ち明ける。県警は「学校や地域向けの通報訓練や広報を徹底する」としている。

 一方で、設置エリアで起こった路上犯罪の件数を運用開始前後の一年間で比較すると、暴行、傷害が十五件から九件、ひったくりが二十件から四件、車上狙いが九十三件から七十九件にいずれも減少。県警は「犯罪を抑止し、住民に安心感を与えている」として、来年四月から岡山市、倉敷市で新たに八基の運用を始めることを決めた。

 石井学区連合町内会会長の中川和彦さん(70)は「子どもを見守る『目』の役割を果たしてくれる」と評価。石井防犯パトロール隊長の竹内操さん(70)は「防犯灯はあくまでシンボル。住民が設置場所をしっかり把握しいざという時のための訓練を欠かしてはならない」と強調する。

(2005.12.17)


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