中国新聞


子どもが選んだお薦め本を紹介
広島の11市立図書館 共同で冊子


 ■絵本や小説漫画まで 380人がコメントも

 広島市立の十一の図書館が共同で、児童・生徒の利用者から「お薦め本」を募集、冊子「イチオシ!―家族や友だちにすすめたい本」にまとめた。図書館や大人の読書グループが“子どもに読ませたい本”を示すケースは多いが、子ども自身のお薦め本リストは珍しい。今の子どもたちがどんな本を楽しんでいるのかが垣間見え、興味深い。(伊藤一亘)

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“子どもたちのお薦め本”を展示している広島市立西区図書館のコーナー

 話題の児童書から、背伸びしたような一般書まで、小学一年から高校生までの三百八十人が寄せたお薦め本はさまざま。

 「かいけつゾロリ」や「ハリー・ポッター」のシリーズといった定番、また「いま、会いにゆきます」「博士の愛した数式」など映像化された話題作が集まった。中には「どうすればストレスを解消できるか―中高生のためのストレス対処法」といった本も。

 子ども自身の推薦コメントが添えられているのが特徴だ。「ずっと隠してた裏の気持ちとかを代弁してくれて、落ち込んでる時に読むとすっきり」(「蹴(け)りたい背中」・十五歳)「最後は悲しい終わり方だけど、ごんのやさしい心がわかるのでこの本が大好き」(「ごんぎつね」・九歳)。自分の感動を素直につづっている。

 昨年の「子ども読書まつり」で、各図書館に応募用紙を置いて募った。寄せられたお薦め本を、絵本(三十六点)、ノンフィクション(四十六点)、小説(二百九十二点)、漫画(六点)に整理し、書名の五十音順で掲載。著者名、出版社名を付記している。ジャンルごとに「貸し出しベスト10」を添え、A4判、七十九ページの冊子にまとめた。

 今月一日から西区図書館では、応募してくれた三篠小六年生四十九人のお薦め本を、推薦コメントとともに展示。他館の協力を得て、「バッテリー」などのシリーズ本も含め、約百冊を並べている。

 市子ども図書館の稲谷悦子館長は「子どもたちは多彩な本を読んでいる。この冊子が、あまり本を読まない子への刺激になればうれしい。職員にとっても、子どもの生の声はとても参考になった」と話している。

 冊子は、お薦め本を寄せてくれた人に配布するほか、各図書館で閲覧できる。また、こども図書館のホームページ(http://www.library.city.hiroshima.jp/child/index.html)で見ることができる。

(2006.2.20)


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