中国新聞


「経験役立つ」「企業指導を」
三次市の子育て特別休暇、ブログ読者から反響


 ■中小・零細では困難 代替要員確保 国に望む

 三次市が、乳児を持つ男女職員に二カ月間の取得を義務づけた「子育て特別休暇」。全国でも珍しい制度について中国新聞のインターネットのブログ(日記風サイト)に紹介したところ、おおむね好意的な反響の一方、制度や意識改革を求める声が寄せられた=記事中の名前はハンドルネーム。(二井理江)

●同世代

 二人を子育て中のパート女性「にゃんた」さん(28)=広島市安佐北区=は、自身の経験も踏まえて「育児を経験すれば人間的に成長できる」と強調。「会社に戻っても、その経験は役に立つはず」と、社会的なメリットも示す。

 現在、育児休業中の公社職員「かしらも」さん(34)=佐伯区=は、会社員の夫(34)と議論。夫も「自分だったら絶対休む。職場の誰かが休むとしても応援する」と話していた、という。

 一方、東広島市の大学講師男性「ルパン」さん(34)は「男性の育休が取れる職場は、五年後も生活の心配をしなくていい安定した職場」と分析。「男で育休取れる選択肢があるだけいいよね。でもおれには関係ないし…」としている。

●職場

 乳幼児二人を抱える自営業女性「tuyumame」さん(30)=同=は「公務員はいいよね、代わりが入るなんて」と印象を記す。中小・零細企業の場合、会社に打撃を与えてしまうため女性の育休取得も難しく、退職するケースが多い現実を指摘。「現実を見ぬふりで、男性も二カ月間の有休取得を義務づけて代替要員を確保し、民間にも広がってほしい、と言われても無理」とする。先駆的モデルになろうとするなら、代替なしで何とかなりそうな一、二週間くらいで設定してほしい、と訴える。

 会社役員男性「Shiozy」さん(57)=廿日市市=も「女性の産休でさえ、休まれると仕事にならない。代替要員は絶対と言っていいほど見つからない。ましてや男性社員が育休なんて言ったら非難の嵐」とコメントする。ただ、三次市の取り組みは評価し「『うらやましいけど賛成』『ねたみはあるけど支援』しなければと思う」とする。

●制度・意識改革

 団体職員男性「まっちゃん」さん(53)=福山市=は、代替要員の確保について、公共職業安定所での登録制を提案。「兼業禁止の正社員なども、自分の空き時間でできる範囲で登録できるよう例外扱いすればスキルの高い人が集まるのではないか」とする。

 米国に住む大学研究員男性「クロス」さん(48)は「中小・零細企業には、国が代替要員を派遣すべき。女性が働いてくれると社会保険や税収入増にもつながる」と記す。国の少子化対策への財源について、にゃんたさんは「戦闘機一つ、何億円もする。国は防衛費の予算を次世代育成と福祉に回してほしい」と訴える。広島市西区のパート女性「コンペイトウ」さん(30)も「法や社則など強制力のあるものの後押しがあった方が良い」とする。

 同市安佐南区の主婦「初ちゃん」さん(59)は「結婚も出産も自由に」と、子どもを育ててきた団塊世代に、少子化の責任の一端があると指摘。「感情的な問題があっても、できるところから進めていかなければ」と周囲の意識の変化とともに、三次市に対しても「企業を指導しないと絵に描いたもちになってしまう」と指導力の発揮を期待する。


三次市の子育て特別休暇 今年4月以降に生まれた子どもが1歳6カ月になるまでに、子ども1人について1カ月単位で2カ月間の有給休暇を全職員に義務付けた。代替要員として臨時職員を確保し、職場内でも業務分担で補う。臨時職員の人件費は管理職手当や特別職期末手当の一部をカットし、520万円を充てる。

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(2006.6.14)


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