中国新聞


市立保育所 地域で運営
庄原、住民ら株式会社設立 指定管理候補者に


 「農」にこだわり教育

 庄原市内の自治組織である敷信(しのう)自治振興区の住民たちが株式会社を設立し、来春区内に完成する同市立板橋保育所(仮称)の管理運営に乗り出す。九日、市の指定管理者候補者に選ばれた。「農」にこだわったユニークなカリキュラムを組み、将来地元に帰ってきたいと思う子どもたちを育てる。公設の保育所を地域住民が管理運営するのは、県内で初めて。(梨本晶夫)

来春開園に向けて建設が進む庄原市立板橋保育所(仮称)

 住民たち十一人が発起人となり十月二十四日、資本金六百二十万円で株式会社「敷信村農吉」を設立した。清光幹雄区長(74)が代表取締役に就任し、同保育所の指定管理者に応募。二団体の中から候補者に選ばれた。十四日に開かれる市議会臨時会での議決を経て、管理者に決まる。

 地域の田畑を活用した田植えや草取り、収穫などの農作業を日常的に体験させ、農産物の生育観察や山遊びも楽しんでもらう。里山を生かした教育を通して感性の豊かな子どもたちを育てるという。

 清光区長は「田んぼに素足で入るなどの楽しい経験が、将来地域に戻ってくるきっかけになる。長い目で見れば、地域の活性化にもつながる」と期待している。

 管理者決定後は地域住民に広く出資を募り、資本金一千万円を目標に増資する。配当は原則せず、利益は野球道具を買いそろえるなど教育資本に充てる。

 同保育所は振興区内の板橋保育所と実留保育所を統合して来春開園。定員はゼロ―五歳児の百十人で保育士や栄養士ら二十八人を採用する。庄原市からの委託料は年間約一億四百万円。管理運営や採用では出資者の一人で前広島YMCA事業統括副総主事の中岡和己さん(56)=三次市山家町=の経験や人脈を生かす。

 株式会社は今後、特産物販売や研修会開催など、元気な地域をつくる母体にもする。

(2006.11.10)


子育てのページTOPへ