中国新聞


子ども条例を検討
広島市議会 改選後に本格論議


 いじめの深刻化や木下あいりちゃん殺害など子どもを標的にした事件が多発している事態を受け、広島市議会が議員提案による「子ども条例」制定を検討している。人権侵害や生命の危険から子どもを守るとともに、健やかに成長できる地域社会の実現を目指す。来年四月に改選を控えているため、障害者支援・少子化対策特別委員会は二十八日、次の任期で本格論議することを申し合わせた。(林仁志)

 委員会では「条例案作成にあたっては当事者の子どもの意見を聞くべきだ」「各会派での協議も必要」などの意見が出たものの、全委員が制定の方向で一致した。委員の一人は二十三条からなる「条例私案」を提出、子どもの個性尊重や健全育成を目標に据え、保護者や学校、行政の責務、いじめや虐待の禁止条項を明文化するよう訴えた。

 ただ実効性を確保するため、拙速は避けるべき―との声が大勢を占めた。十二月と年明けの定例会、四月に予定される市長と市議の同日選と日程が厳しく、任期中の制定は困難と判断。改選後に本格審議に入る方針を決めた。二月にまとめる特別委員長報告には「新体制で必ず審議する」などの文言を盛り込む点でも合意した。

 市議会には「子どもが子どもらしく育つことができない社会になっており、大人は反省すべきだ」「子どもの権利条約が守られていない」など、以前から条例を望む声があった。昨年のあいりちゃん事件に続き、今年五月にも西区で虐待を受けた幼児が死亡する事件が起き、制定に本腰を入れることになった。

 有識者でつくる民間団体「子どもの権利条約総合研究所」(東京)によると、四月時点で三十四自治体が子どもの権利に関係する条例を定めている。中国地方では出雲市と岡山県新庄村が制定しているという。

(2006.11.29)


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