中国新聞


広島市立小中学校
来年度 9割が二学期制


 ■保護者 不安の声

 授業時間の確保を目的に本年度から二学期制を一部の学校で試行している広島市で、来年度から市立小中学校の約九割にあたる計百八十五校が二学期制を導入することが五日、分かった。対応を任されている学校側の説明が不十分として、保護者からは導入を不安視する声が出ている。(鴻池尚)

 市教委がまとめた各学校の意向調査によると、来年度から二学期制を導入するのは、小学校百四十校のうち百二十四校、中学校六十三校のうち六十一校。本年度は計十三校が試験的に導入しているが、各校では定期テストなどの回数が減ることから、授業や教育相談の時間を増やすなどのメリットがあるという。

 市教委は来年度の本格実施を目指している。導入時期は各学校の判断に委ねられており、指導第一課は「来年度は七割程度と予想していた。時間を活用し、ダイナミックに教育活動を展開してもらいたい」と求める。

 一方、導入を不安視する保護者の一部は市民グループを設立。導入に向け、十分な説明がされてないため学校現場が混乱しているとして、来年度の本格導入を見送るよう求める動きも出ている。市教委は各校に年明け以降、保護者に年間カリキュラムを十分に説明するよう指導を強める。残る一割の小中学校は「地域の理解を十分得て、しっかりした体制を整えて二学期制に臨みたい」などとして、来年度も引き続き三学期制を維持する。

 政令市では、前年度までに試行を含めて六市がすでに二学期制を導入している。

 ■広島市立小中二学期制導入、「利点見えぬ」と見送り要請 −市民団体、市教委と懇談

 来年度から広島市立の小中学校に二学期制が本格導入されるのに対し、市民団体「二学期制導入を考える広島市民の会」と市教委の懇談会が四日夜、中区役所であった。保護者からは、二学期制についての説明不足や、導入見送りを求める意見が相次いだ。

 会のメンバー十八人が、市教委指導一課の職員三人と懇談した。保護者らは実施予定校で保護者や地域への説明がない具体例を挙げ、「混乱している。このまま導入しては子どもがかわいそう」「学校が説明会を開き、保護者が反対したらやめるのか」などと市教委の姿勢をただした。

 市側は「大混乱だと認識していない。市教委としては二学期制を積極的に進めたいが、導入するかどうかは校長判断だ」「教員研修や保護者説明会を開くよう学校に指導している」などの説明を繰り返した。

 小松保子代表(47)は「子どもへのメリットがはっきり分からず、現時点では不安が大きい。学校任せにせず、市教委がしっかりと説明してほしい」と求めていた。(岡田浩平)

 市教委によると、来年度、三学期制のままの学校は以下の通り。

 小学校=中島、吉島東、吉島、舟入(中区)、大州、青崎、仁保、楠那、向洋新町(南区)、中筋、古市、原南、梅林(安佐南区)、倉掛(安佐北区)、五観音西、藤の木(佐伯区)▽中学校=仁保、楠那(南区)

(2006.12.6)


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