中国新聞


広島県世羅に別の幼稚園計画
地元医師ら、県に申請


 町の事業者選定に反発か

 広島県世羅町の医師ら町内外の有志が、町内への私立幼稚園設立の計画書を県に提出したことが十三日、分かった。町も尾道市の学校法人を誘致して二〇〇八年春、私立幼稚園を開園する準備を進めている。背景には、事業者選定をめぐる町への反発があるとみられる。現在、幼稚園がない町で、二つの開設計画が動き出す異例の事態となった。(梅原勝己)

 県などによると、地元で開業する毛利令尊医師を代表者とする九人が十月三十一日、県に計画書を提出した。計画では「世羅幼稚園(仮称)」を設立し、別の開業医が所有する世羅町本郷の駐車場に園舎を建設。県の認可を得て、二〇〇八年春の開園を目指す。申請者の一人は「地元の子は地元で育てるべきだ」と説明している。

 一方、町は二月、尾道市栗原町の学校法人恵泉学園(狩野薫理事長)と進出協定を結んだ。当初、旧世羅町庁舎跡に〇七年春に開園する計画だった。しかし、町議会が「業者選定が一方的で、住民への説明が不十分」と反発。開園の一年延期を決めた経緯がある。

 世羅幼稚園開園を目指す関係者は今後、計画書への県の了解を得て学校法人を設立し、県に開園認可の申請をする予定。しかし、町が準備作業を先行させており、県私学審議会の答申など流動的な要素を残している。

 新たな幼稚園設立申請について山口寛昭町長は「申請は事業者の判断で自由」との構えを見せる一方で、「恵泉学園に進出してもらう」と述べ、既定路線を変更しない姿勢を鮮明にしている。恵泉学園は「世羅町に私立幼稚園が二つ開園するのは経営上、ほぼ不可能」との見通しを示す。

 世羅町には現在、十二保育所一分園があり、園児は約五百四十人。過去三年間の年間出生数は百二十〜百三十人台で推移している。

(2006.12.14)


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