中国新聞


尾道の幼小中一貫校計画
因南学園に賛否


■地元PTAが推進請願

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佐藤議長(右)に計画推進を求める請願書を提出する村上代表

 尾道市教委が因島南部地区で進める幼・小・中一貫の因南学園(仮称)の設置計画で、市PTA連合会因島ブロックは六日、計画推進を求める請願書を市議会の佐藤志行議長に提出した。二日には住民団体が二小学校存続を求める請願書を提出。小中学校を統廃合する計画をめぐり、地元から賛否の請願が出る異例の事態となった。

 同ブロックの村上善彦代表(47)ら八人が市議会を訪れ、佐藤議長に手渡した。請願書は小規模校の短所として、(1)児童・生徒の競い合いが少ない(2)交友関係が固定化する(3)クラブ活動の種類が限定される―などを指摘。計画推進を求めている。

 村上代表は「保護者の強い意志を伝えるために請願書を提出した」と語った。市議会は、二十一日開会予定の次期定例会の最終日(三月二十日)に請願を採決する。

 因南学園は土生、三庄、田熊地区の三小・三中学校と土生幼稚園の計七校・園を統合し、因島土生町に一貫校を新設する計画。地元住民でつくる「三庄小の存続を求める会」と「田熊小の存続を求める会」の二団体は二日、二小学校の存続を求める請願書を計六千五百五十六人分の署名を添え、それぞれ提出した。

 市議会は九日、因南学園設置計画を議題とする全員協議会を開く。地元で賛否の議論が出ているのを受け、市側が今後の方針を説明する。市議会は十二月の定例会で、同学園の実施設計費を盛り込んだ一般会計補正予算案を全会一致で可決している。(田儀慶樹)

■「統廃合には反対」閉校の三庄小学区 −住民討論会に150人

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尾道市教委の因南学園の設置計画をめぐり地元住民が開いた討論会

 尾道市教委が計画する幼・小・中一貫の因南学園の設置をめぐり五日夜、学園開設で閉校になる三庄小学区の住民が地元で討論会を開いた。

 因島三庄町と因島椋浦町の住民約百五十人が出席。平谷祐宏教育長が計画の概要と経緯を説明した。因島在住の市教育委員は「子どもたちのために、進んだ尾道教育のモデル校としての計画にかけてみたい。反対の声がもっと早く出れば話し合いもスムーズにできたのに。残念だ」と述べた。

 住民からは、小学校存続を求める署名が現在、町民の七割近い三千人を超えていることを挙げ、「合意形成の過程で多くの町民は蚊帳の外に置かれた」「小学校は歩いて通える所に」など計画に反対の発言が目立った。討論会の後、平谷教育長は「住民の意見は尊重するが、市教委としてはPTAの意見が基本。方針は変わらない」と話した。(石田憲二)

(2007.2.7)


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