中国新聞


障害児 楽しく機能訓練
広島の筧さん グッズ開発


 ■長男用に考案、ネット販売

Photo
カラフルで楽しいプラスキッズの商品

 障害のあるわが子の介護用品や訓練用具を明るく、かわいらしくデザインしたい。前向きな気持ちになるように―。そんな母の思いから生まれたブランドがある。広島市西区の筧(かけひ)美貴さん(39)が考案した「+Kids(プラスキッズ)」。昨年夏からインターネット販売を始め、評判を呼んでいる。母の愛が原点だ。(木ノ元陽子)

 遊びの中で心育てる工夫

 脳障害のある長男稀祥(きしょう)ちゃん(4)のお気に入りは「ニギニギスティック」。イヌの顔がついた「ぬいぐるみ」だ。握ったり、口に入れたり。時にじっと見入ってはニコッと笑う。おもちゃのようで、実はいろんな訓練機能が備わっている。

 握力の弱い障害児のために、細く軽く仕上げてある。緑色やピンクなどカラフルな色使い。視力の弱い子どもでも、とらえやすい。振ると鈴が鳴り、手編みだから感触も楽しい。握る、見る、聞く…。遊びがトレーニングになっている。

 「健常な赤ちゃんはすごいスピードで成長しますよね。でも障害がある子は一つのことができるようになるまでに、長い時間が必要」と筧さんは言う。繰り返しのつらい訓練は続かない。親子でコミュニケーションを楽しみながら、子どもの意欲を引き出しながら。「心が育たないと、体も育たない」が信条だ。

 結婚する前、十年間ほど、東京でスタイリストをしていた。稀祥ちゃんの成長の歩みに合わせ、用具を手作りしてきた。知人の勧めで、女性起業家向けのチャレンジコンテストに応募。千五百六十三人の中から最優秀賞に輝いた。昨年二月のことだ。

 「もう、びっくりでした」。賞金三百万円を資本に商品化を進め、昨年夏にホームページを開設、販売を始めた。「ニギニギスティック」のほか、体を支えたり、体位を変えたりする時に使うボディークッション、首が据わっていない子どもでも安全に使えるスタイ(よだれかけ)などがある。医師や理学療法士に助言をもらい、ママ仲間の意見を参考に商品開発に励んできた。

 「すべて息子が導いてくれたような気がします」。筧さんは稀祥君を見つめる。「障害のある子を授かった自分だから、できることがある。これからも夢のある商品を手掛けていきたい。息子にヒントをもらいながら。もちろん、楽しみながら」

 ホームページのアドレスはhttp://www.plus-d.info

(2007.2.17)


子育てのページTOPへ