中国新聞


個性豊か 広がる創造力
積み木に夢中
広島県北広島で3−8歳講習会


 背より高い円筒、トンネル…

 「童具」と名付けられた積み木遊びのワークショップが今月中旬、広島県北広島町の町図書館で開かれた。参加した三〜八歳の十五人は二時間半、四千個のブロックを使い、たった一つの作品づくりに熱中。「並べる」と「積む」シンプルな行為に、子どもたちは個性豊かで限りなく広がる創造力を示した。(西村比登志)

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背丈以上の高さに作った積み木の円筒に「トンネル」を設けて、出入りして遊ぶ子どもたち

 町内の子どもと保護者計二十七人はまず、直径二メートルの円状に並んだ積み木を、筒状に積み上げる作業に取り組んだ。最初は一辺四・五センチの立方体のブロックを、すき間をつくりながら交互に積み上げていく。

 次いでブロックを少し大きめの直方体に替えながら積み上げ続けると、円筒は徐々に高くなった。背丈ほどになると、子どもたちの目はさらに輝きを増し、大人に抱えられながら積み続ける。一・六メートルと見上げる高さに完成させた。

 しかし、講師役の中木秀成さん(27)=広島市安佐北区安佐町=が、円筒の内側に取り残された。子どもたちは、どうやって脱出するか興味津々。中木さんは二カ所でブロックを崩して「トンネル」に。子どもたちはすぐ、トンネルを抜ける遊びに興じた。さらに、円筒のあちこちを崩し、「穴」を開ける遊びに転じ、円筒は乾いた音を立て一気に崩れた。

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積み木を飾るために使ったビーズの「川」で、舟遊びに夢中になる子どもたち

 「童具」に共感する臨時保育士の中木さんは「うまくトンネルができるのは、積み木が正確な寸法で適度に重さがあり、力が分散されるため」と説明。ブロックはカバノキの白木で七種類あり、一辺が正確に一・五センチの整数倍となっているため、組み合わせを工夫すれば、水平に積むことができるという。

 長女の英美莉ちゃん(6)と参加した北広島町大朝の公務員種昇二さん(43)は「身長以上の積み木は初めての体験。子どもが集中しているのが分かる」と話していた。

 続いて、子ども二組と大人の計三組に分かれ、大きな作品づくりにも挑戦。子どもたちは、恐竜とビルづくりに夢中になり、つめや歯など細部にもこだわる。着色ビーズを丁寧に飾りつける女児も。完成後に「これはワニ」「ビルでなくお城」など、心にストーリーを描き、呼び名を変える子どももいた。大人も積み木に夢中となっていた。

 企画した同図書館の道上節子館長(62)は「一人一人の発想が違うのに、子どもたちはすぐに共同作業を始めた。形や色へのこだわりは大人以上」と驚き、果てしない創造力に感心していた。


童具 「遊」と「学」を区別せず、遊びながら自発的に学べる用具。東京在住の遊具作家、和久洋三さんが提唱し、命名した。例えば、積み木では数量や形への認識が自然に深まる、という。和久さんの講演会が31日午後3時から、広島市佐伯区海老山南、なぎさ公園小である。問い合わせは中木明美さんTel090(8999)9888。

(2007.3.17)


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