中国新聞


指導力不足教員 9人の定昇停止
広島県教委、広島市教委


 ▽給与格差 初の対応

 広島県教委と広島市教委は十九日に支給した教職員の給与で、「指導力不足教員」と認定した教員計九人の定期昇給を停止した。いずれも初の対応で、実力不足で業務を離れても給与面で格差がない現状を変える必要があると判断した。

 定昇を見送ったのは、小学校六人、中学校二人、県立学校一人。全員が「子どもへの適切な指導や授業ができない指導力不足」とされた。年齢や性別などは「個人が特定される可能性がある」として、両教委とも明らかにしていない。

 県教委関係は六人。一人が本年度から新たに、三人は昨年度に続き指導力不足とされた。さらに一人は今月から現場に復帰し、残る一人は研修中だった昨年度途中から病気休暇に入っている。

 市教委は三人で、いずれも昨年度から連続で認定された。

 指導力不足教員は、模擬授業や授業計画の立案など現場復帰に向けた研修を、県市の教育センターや所属校で受ける。県教委などによると、教職員は四月に定期昇給がある。これまでは懲戒処分を受けたり、病気などで長期に休んだりした場合を除き、一律に昇給していた。

 定昇停止について県高教組の有田耕委員長は「研修を受けているのだから、待遇は同じにしてほしい」。県教組の山今彰委員長は「認定制度に問題があるのに、経済的な実損を伴うやり方は良くない」としている。

 指導力不足教員の定昇停止は、中国地方五県では島根、鳥取の両県教委が既に実施している。(村田拓也)

(2007.4.20)


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