中国新聞


はんぶんこ成人式/ブランド貸衣装
子ども向け撮影サービス多様化


 ■「記念日」「おしゃれ」演出 ―少子化で魅力アップ懸命

 広島都市圏の写真スタジオで、子ども向け撮影サービスが多様化している。従来の七五三などに加え、年齢の節目や出産前などさまざまな「記念日」をスタジオが演出。流行を取り入れたブランド製の貸衣装を豊富にそろえ、特別なおしゃれを楽しむ機会としても定着しつつある。少子化が進む中、サービス合戦が熱を帯びている。(長久豪佑)

節目の年着目

表「最近の子ども向け撮影の特徴」

 大進創寫館(そうしゃかん)本店(広島市中区)が六月に始めたプランは、十歳を記念して写真に残す「はんぶんこ成人式」。女の子は振り袖、男の子ははかまなどの衣装を貸し出し、着付けやヘアセットなどのサービスも含め六千八百円で撮影する。

 福田みよこ店長は「七五三を終えてから成人式を迎えるまで、おしゃれをして撮影できる節目の機会が少ないことに着目した」と説明する。

 一年で最も子どもの撮影の予約が集中するのは十一月の七五三。参詣当日は慌ただしく、写真スタジオなども込むため、撮影だけを前倒しで行う傾向が進んでいる。同社は六月から撮影を受け付けている。価格は六つ切りの写真一枚の場合で四千八百円。参詣当日、撮影時とは別の着物を利用することもでき、別料金で貸し出す。

 スタジオアリス広島店(南区)では、出産を控えた母親を撮影するプランが人気だ。一〜六月の利用者は昨年同期より倍増。おなかの大きくなった母親が夫と一緒に写真に納まる。宮参り、七五三、入学式とアルバムを増やす「出発点に」という人が目立つという。

 子どもの誕生日に訪れる客も増加。一〜六月の売り上げは前年同期を約30%上回った。同社によると、一家族が撮影にかける金額は年間平均で約三万円。坂田道美サブマネージャーは「一人の子どもにかける金額が増えている」と分析する。各社とも、少子化で撮影件数の増加には限界があり、いかに魅力的な撮影サービスを提供するかに力を入れている。

 利用者にとって、写真館を利用する楽しみの一つが衣装の豊富さ。何着着ても一定料金の店が多い。約五百着をそろえる、子ども向け写真スタジオのフォセットダイヤモンドシティソレイユ店(府中町)で人気なのは、有名ブランドやデザイナーの着物。約二十ブランドをそろえ、撮影に訪れた子どもの約半数が試着するという。

無料でCD化

 リボンや果物の柄、振り袖の縁の部分にレースをあしらうなどデザイン性の高さが人気で、振り袖の下部分がスカート状になっている「着物ドレス」も支持を得る。相川真太郎マネージャーは「流行に敏感な二十〜三十歳代の母親にも受けている」と話す。

 同店では昨年、子どもが着物の着こなしを披露するファッションショーを始めた。写真館を流行の発信源にしよう、との試みだ。

 写真の楽しみ方も幅が広がっている。コマエ写場比治山本店(南区)で好評なのは、写真データのCD―Rを無料で提供するサービス。年賀状などへのプリントが簡単にできる。

 写真に文字を入れたり、枠や形を特殊なデザインに変えるなどした写真集(四万二千円)の購入者も増加。六、七月の販売数は昨年同期に比べ約15%伸びた。写真をキーホルダーにするサービスの要望も多い。

 建部亜希子店長は「写真データのデジタル化で、多彩なサービスが可能となった。写真展の開催など新たなサービスも企画したい」と話す。

(2007.8.4)


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