中国新聞


育児中だって演奏したい
ママブラス 広がってます


 「ママだって演奏したい!」と、子育て中の母親でつくるブラスバンドグループが、あちらこちらで結成されている。ユニークなのは、子どもの相手をしながらの演奏を、メンバーが認め合っている点。おんぶしながら、抱っこしながら、おっぱいをあげながら…。奏でるメロディーは子どもを喜ばせると同時に、母親たちをリフレッシュさせている。

 広島市中区の市青少年センターの一室で、ブラスバンドの練習が始まった。クラリネット、フルート、トランペットなど十四種類の楽器を奏でるのは約三十人。今年三月に発足した「広島ママブラス♪ピース♪」は、十二月一日のファースト・コンサートに向け、練習を重ねる。

■授乳で小休止も

 練習はもちろん、子どもを同伴。この日はゼロ歳から三歳の十数人が来ていた。母親におんぶひもやスリングでくっ付いている子もいれば、空きスペースで遊んでいる子、中にはぐっすり寝ている子も。退屈すると泣きだしたり、ぐずったり。母親たちはそれぞれ、時には演奏をやめ、あやしたり授乳したりする。

 「中学、高校時代は、吹奏楽部の活動に青春をかけていた」という代表の主婦清水寿代さん(28)=安佐南区=が今年一月、インターネットのコミュニティーサイトで参加を呼び掛け、三月にピースが発足。一歳の息子がいる清水さんは「部活の先輩が大阪でママブラスを楽しんでいると聞き、それなら私もと思い立った」と振り返る。

 演奏中に子どもがぐずったりしても「お互いさま」と許せることが条件。ほかは、楽器を持っている人なら誰でも歓迎だ。「家で眠らせていた楽器を思い切り吹きたい」「子どもに生の音を聞かせたい」と、吹奏楽経験者を中心に、賛同する母親たちがぞくぞくと集まった。

 二歳と四歳の息子がいる主婦西村昭子さん(31)=中区=は「一般のブラスバンドは平日夜の練習がメーン。主婦の参加は無理とあきらめていた」と話し、「子育てしながら、好きな音楽を通じて仲間ができてうれしい」と喜ぶ。

 子育て中の母親たちのブラスバンドは二〇〇二年に仙台市のグループが発足した後、全国に広がっている。広島県内では福山市で「まま〜ずブラスアンサンブル♪福山」が〇六年に活動をスタート。メンバーは三十歳代を中心とする福山市近郊の母親たち十五人で、保育所や子育て支援イベントで開く演奏会も好評だ。

 呉市では今年八月に「呉ママアンサンブルpipopa」が誕生した。インターネットの子育てサイトでの呼び掛けを機に集まった七人が、市内の公民館などで月二、三回集まり、練習を続けている。

 アンパンマンマーチ、ディズニーソング、童謡など、どのグループも演奏する曲には、子どもの好きな曲をふんだんに取り入れている。(平井敦子)

(2007.10.29)


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