中国新聞


「就学援助」異例の補正
児童生徒が10年で倍増
広島市、2億1000万円盛る


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 困窮世帯の学用品や給食費などを自治体が負担する「就学援助」を受ける広島市の児童生徒が急増し、市が本年度当初に見込んでいた予算額を大幅に超過する見通しとなった。市は二十七日、一般会計補正予算案に約二億一千万円を盛り込んだ。市教委によると、就学援助費の補正は過去十年間で例がない。

 本年度の受給者は市立学校で義務教育を受ける児童生徒のほぼ四人に一人に当たる約二万四千三百人。年々増え、十年前の約一万二千三百人から倍増した。就学援助を受ける割合は二〇〇六年度24・5%で、政令市では大阪市(38%)新潟市(24・8%)に次ぐ。

 今回の補正で、就学援助費の予算総額は約十五億二百万円となり、〇六年度決算額を約五千万円上回った。これまでは当初予算で足らない場合、入札で浮いた予算や他事業の執行残額を充てていたが、本年度はそれでも足らないという。

 援助費の大半を一般財源から支出しているため、市は昨年度、支給基準見直しを検討した。しかし、非正規雇用の増大や企業のリストラなどで生活困窮者の増大を予想する学識経験者から「学習環境に多大な影響を与える」との反対の声が出て実施を見送った。

 市教委の外和田孝章学事課長は「年度途中に援助申請する世帯も多い。個人所得の格差は広がる傾向にあり、援助費の増加傾向は続きそうだ」と話している。(石川昌義)

(2007.11.28)


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