中国新聞


広島の教育者よ 襟正せ
県教委、異例のメッセージ


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県立学校長会議で不祥事根絶を求める榎田教育長(右端)

 広島県教委は五日、県立学校長会議と市町教育長会議を開き、綱紀粛正を求める緊急メッセージを出した。教職員不祥事が続発する「非常事態」(県教委)を受けた異例の措置で、具体的な処分事例を詳しく紹介し、防止策の徹底を求めた。

 不祥事根絶へ 処分例を紹介

 県庁で開いた学校長会議には約百二十人が出席。榎田好一教育長は「県の教育が向上しても、不祥事で信頼関係が一気に失われる」とし「不祥事はどの教職員にも起こりうるとの考えで、結束して防止に取り組もう」と呼び掛けた。

 教育長名で配布された緊急メッセージは、飲酒運転やわいせつ行為による教員の逮捕が相次いだのを受け「社会人としての資質を疑われる事案が多い」と強調。「子どもたちは私たちの姿を見て育つ」と県民の期待に応える学校教育の実践を訴えている。

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 さらに宇根孝治管理部長が本年度の処分事例を説明。福山市立小の男性教頭が飲酒運転して事故を起こし十一月二十七日に懲戒免職となったケースでは、教員研修のまとめ役だった教頭が「(まさか)自分がこんなことをするわけがないと思っていた」と事情聴取後に打ち明けたことを紹介。すべての教育関係者が自身の問題として真剣に考えるよう求めた。

 本年度の懲戒処分者は計二十九人。ここ五年で最も多かった昨年度(五十一人)の同時期を一人上回る。中国地方五県での現時点の処分者計四十二人(広島市教委分を含む)の七割を占め、突出している。

 こうした事態に広島県教委は八月、懲戒処分を受けた場合の生涯賃金への影響額や、処分を受けた教職員の後悔の言葉を盛り込んだ研修資料を作成している。昨年十月には先進的な取り組みを工夫集としてまとめた。だが依然、不祥事根絶の成果は出ていない。(村田拓也)

(2007.12.6)


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