中国新聞


マツダ病院 分娩中止
産科医集約化響く 来月末


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来年1月いっぱいで分娩業務の中止を決めたマツダ病院

 広島県府中町のマツダ病院が来年一月末で分娩(ぶんべん)業務を中止することが分かった。三人いる産科医師のうち一人が近く退職し、派遣していた広島大が後任を補充できないため。産科医師の確保が、都市部の病院でも難しくなっている現状が広がっている。

 マツダ病院は、広島市東部地域の基幹病院の一つ。産婦人科は、正常分娩のほかハイリスク分娩も扱い、年間約三百人の新生児を取り上げている。広島大からの派遣を受けている男性医師が退職の意思を示し、大学側は産科医師を特定病院に集約化する方針から、新たな派遣を見送る考えを伝えてきた。

 このため、マツダ病院は「分娩業務を維持するのは困難」と判断した。鳴川一彦事務長は「産科医師が二人体制では二十四時間の業務はできない。分娩を中止しても産婦のケアなどは当面続けたい」と話している。

 広島大の弓削孟文理事(医療・施設担当)は「大学も産科医師不足で補充に応じられない現状を、地域にも理解してほしい。現場の医師が疲弊しない労務環境づくりのため、大学病院など特定病院への集約化は欠かせない」と説明している。

 広島県内では、福山市民病院の産科部門が四月から休診。呉市の呉共済病院産婦人科が来年四月をめどにした休診を公表するなど、全国的な産科医師不足を背景に、派遣元の大学が医師の集約化を進める影響が広がりつつある。(上杉智己)

(2007.12.22)


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