中国新聞


家庭でルール作りを
携帯電話 子どもに持たせる前に


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広島県生活センターが開いた「ケータイ安全教室」。基礎知識を学ぼうと保護者らが参加した

 子どもたちの間でも、コミュニケーションや情報収集のツールとして普及している携帯電話。一方で、インターネットやメールによるトラブルは後を絶ちません。子どもが犯罪に巻き込まれる危険もあれば、掲示板に悪口を書き込んだりして加害者になる場合もあるのです。携帯電話を悪用した犯罪とはどんなものか、家庭でどんなルールを作ればいいのか。子どもに持たせる前に、確認しておきたいものです。

「犯罪リスク」の認識必要

 広島県生活センターが主催した「子どもをトラブルから守るためのケータイ安全教室」。約二十人の保護者たちが参加しました。「小学五年の息子が欲しがっているのだけれど…」。参加者の一人、南区のパート女性(31)は心配顔です。迷惑メールやインターネットの有害サイトなど危険がいっぱい。何より、子どもの人間関係が親の目の届かない範囲にまで広がるのでは、という危機感もあると言います。

 確かに、パソコンならば保護者も目を光らせることができますが、携帯電話となるとそうはいきません。「便利で操作も簡単な携帯から、安易に有害サイトにアクセスしてトラブルに巻き込まれるケースは多発しています」。ケータイ安全教室の講師、ドコモモバイル中国の上村貴子さんは強調します。

 こんな統計があります。警察庁によると、出会い系サイトの被害に遭った児童(十八歳未満)は今年上半期で六百四人。そのうち携帯電話でアクセスした児童は95・5%にのぼります。

 出会い系サイトに誘い込むメールや架空請求メールなど、迷惑メールのたぐいは後を絶ちません。「手口はどんどん進化しています」と上村さん。例えば「フィッシング詐欺誘引メール」。銀行やカード会社からのメールを装い偽サイトに誘導。銀行の口座番号や暗証番号、カードのIDなどを入力させて盗み取るというものです。

 「ワンクリック詐欺誘引メール」というのも増えています。アダルト・出会い系サイトからの誘導も多いですが、最近は芸能情報サイトからの誘導も急増。芸能人など興味をそそる話題でクリックを誘い、うかつにクリックするといきなり登録料などを請求されます。

 有害サイトから身を守るために活用したいのが携帯各社の「フィルタリングサービス」。有害サイトにアクセスできないよう、事前にサーバーでカットする仕組みです。無料のサービスで携帯電話からも申し込めます。

 中高生のネットいじめが問題になるなど、わが子が加害者になる恐れもあります。それだけに家庭でのルール作りは欠かせません。

 消費者問題に詳しい広島修道大の柏木信一准教授は「携帯電話は、子どもが未成年のうちは契約法の原則からみても親の名義で契約すべきだ」と強調します。「携帯電話は子どものものではなく、親から子に貸し与えているものである、主導権は親にあることを、子どもにしっかり認識させる必要があります」

 そのためにも家庭でのルール作りが大切。柏木准教授は、お小遣いで払える範囲内で利用料金の上限を決める▽ゲームのダウンロードなど料金が発生するときやトラブルに遭った場合は必ず相談する▽決められたウェブサイトしか見ない▽サイトに個人情報を書き込まない▽ネット上に書き込むときは相手の気持ちを考え、表現に気をつける―などを挙げます。

 柏木准教授は「ルール作りは、金銭教育にも法教育にもつながる。また、便利なものにはリスクがあるということを親子でしっかり話し合って」と助言します。子どもを危険にさらさないために、万全の対策を取りたいものです。(木ノ元陽子)

(2007.12.24)


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