中国新聞


山口赤十字病院
分娩 月30人に制限
4月から 「里帰り」受け付けず


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「里帰り分娩」の受け付け中止を知らせる張り紙(山口市の山口赤十字病院)

 山口市の山口赤十字病院は四月から、分娩(ぶんべん)を月三十人までの予約制にする。山口、萩両市と周辺町に住む妊婦を優先し、圏外から実家に戻って産む「里帰り出産」は受け付けない。産婦人科の勤務医一人が三月で辞職するため。これにより開業医を除き、二次医療圏である山口、防府両市内で分娩を扱っている四病院すべてが制限を設けることになる。

 山口赤十字病院では、分娩数が二〇〇六年の四百七十八人が昨年は五百六十三人へと急増した。山口、宇部両市内や島根県津和野町内の他の病院が相次ぎ分娩の中止や制限に踏み切った影響とみられる。

 産婦人科の常勤医は四月から四人となる。さらに、ハイリスク出産に対応する「地域周産期母子医療センター」も兼ねていることから、救急搬送などへの対応が難しくなるとして正常分娩に制限を設けることにした。救急搬送や開業医からのハイリスク出産の紹介については制限を設けない。

 第一産婦人科部長の辰村正人医師は「産科医不足で補充もできず、限界がある。過酷な勤務の改善が緊急の課題だ」と訴えている。

 一般的な医療サービスを提供するエリアである山口・防府の二次医療圏では〇六年秋以降、医師不足などによる分娩の制限が相次いでいる。県立総合医療センター(防府市)は正常分娩を制限し、小郡第一総合病院(山口市)は正常分娩の扱いを中止。済生会山口総合病院(同)は、ハイリスク出産の受け付けをやめた。同医療圏域の〇七年の分娩数は、計二千九百三十五人だった。(高橋清子)

(2008.1.30)


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